
応援企業008
株式会社高橋産業
笑顔製造業がイクボス宣言で組織を変える。
育休が加速させた多能工化と過去最高収益の秘話
代表取締役社長 高橋修平さん
専務取締役 高橋佳子さん
統括マネージャー 佐藤和春さん
目次
- 「笑顔製造業」がイクボス宣言をした理由
- 当時の苦労と任せきりだった子育て
- 柔軟な金銭サポートと現場の覚悟
- 多能工化の加速と現場の成長
- 休みを増やして過去最高収益を達成
- コミュニケーションと社長の意識改革
「笑顔製造業」がイクボス宣言をした理由

- 岩本アナ
- みなさん、笑顔が素敵でとても良いですね。すごく話しやすい雰囲気があります。
- 高橋社長
- ありがとうございます。
- 高橋専務
- 「笑顔製造業」というのを本気で打ち出しているので、そう言っていただけて嬉しいです。
- 佐藤さん
- 私は社長のように笑顔がうまくできないんですけど(笑)。
- 岩本アナ
- いえいえ、とても良い笑顔ですよ。
- 高橋社長
- 彼はイケメン枠なので(笑)。
- 佐藤さん
- いやいや。まぁ、うちの会社だと他にいないんでね(笑)。
- 岩本アナ
- (笑)。佐藤さんは社歴長いんですか?
- 佐藤さん
- はい、今19年目ですね。
- 岩本アナ
- ベテランですね。高橋産業さんが育休とか働きやすさみたいなことを意識しだしたのはいつ頃からなんですか。
- 高橋社長
- いつ頃からだろう。男性の育休という意味では最近なんですが、最初に「しまね女性の活躍応援企業※」を取らせてもらったのがきっかけで、そこからかな。
- 高橋専務
- ですね。それで「イクボス※」の取組をし始めて。令和2年からですかね。
- 高橋社長
- その前は女性の育休取得もまだ全然なかったので。専務も育休取ってないもんね。
- 高橋専務
- なかなかそういう考えにならなかったです。こんな取材を受けといてなんなんですが(笑)。
- 岩本アナ
- イクボスの取組などは何を意識して参加されたんですか?
- 高橋専務
- 「一般事業主行動計画」の届出をした時に、その一環でイクボスのことも認識して、別で私が参加させていただいている県の「しまね働く女性きらめき応援会議」という集まりの中でもその話をたくさん聞くようになったので、「あ、どんどんそういう時代になっているんだな」と感じて、取組を行うようになりました。
- 岩本アナ
- 時代の流れのようなものを感じたんですね。
※しまね女性の活躍応援企業登録制度
女性の活躍推進に向けて積極的に取り組む企業・団体を「しまね女性の活躍応援企業」として登録し、企業・団体の魅力アップを応援する県の登録制度

※イクボス
イクボスとは、部下の仕事と育児や介護など私生活の両立を考え、そのキャリアと人生を応援しながら、期待される効果をあげ、自らも人生を楽しむことができる上司(経営者、管理職など)のこと。
県では、「イクボス」の取組を県内全体に広めるという趣旨に賛同する企業の代表者を募集し、「しまねイクボスネットワーク」を構成。加入企業は随時募集中

当時の苦労と任せきりだった子育て

- 岩本アナ
- お二人はお子さんが何人ぐらいいらっしゃるんですか?
- 高橋専務
- 女の子が4人います。
- 岩本アナ
- 全員女の子で!それはすごい。
- 高橋専務
- 最後に双子が生まれたので、一気に大変になりました(笑)。
- 岩本アナ
- 4人のお子さんを育てる中で、育休を取りたいという思いは、当時はなかったんですか?
- 高橋専務
- 自分も知識が不足していて、育休という概念がなかったんです。出産後1か月は休んだんですけど、すぐに仕事に出たので、大変と言えば大変だったと思います。次女が生まれた時も、ISO(国際標準化機構)の環境のシステムを取得しなきゃいけないという状況で、本当に赤ちゃんを腕に抱えながら規格を作ったりしてやってました。生まれたばかりで保育園にも入れられないし、授乳もしてましたし。いやよくがんばったなと(笑)。
- 岩本アナ
- 本当にそうですね。そういう姿を社長も見ておられたということですよね?
- 高橋社長
- そうですね。私は私で全く業界のことを知らない状態で婿として会社に入ってきているので、当時は自分のやるべきことに精いっぱいだったというところがありますね。結果的に子育ては任せっきりになってしまっていました。ただ、義父母、義祖父母がいらっしゃったので、そこはすごく協力してもらいました。
- 高橋専務
- 祖父が寝かしつけ、祖母が洗濯、母が食事、みたいな感じで本当に協力してもらいました。
- 岩本アナ
- 今は核家族も増えて、そういう体制が取れない人も増えてきていますからね。お二人の苦労した経験を今の社員にはさせちゃいけないという思いがあるんですか?
- 高橋専務
- させたくないです。今は育休が取れる環境も整っていますし、育児に専念してもらいたいです。自分が叶えられなかったことを、せめて社員にはしっかり叶えてあげたいという気持ちが大きいですね。やっぱり、仕事だけではなく、人生も楽しく過ごしてほしいという思いがあるので。
柔軟な金銭サポートと現場の覚悟

- 岩本アナ
- 今回育休を取られていた三島さんは一度退職して戻って来られたという経緯もあるそうですね?
- 高橋専務
- そうですね。ユーチューバーになるという夢を叶えるために一度会社を離れて、また戻ってきてくれました。
- 岩本アナ
- ユーチューバーですか!すごい挑戦ですね!
- 高橋専務
- 行ってこい!という感じで送り出しました(笑)。 最初に来てくれたのが平成25年で、そこから5年間働いてくれました。その後、一度離れて、令和4年の10月に、最初はアルバイトとして戻ってきてくれました。
- 岩本アナ
- 正社員になられたのは?
- 佐藤さん
- 今年の4月からですね。6月に育休に入る少し前からでした。
- 岩本アナ
- 三島さんにお子さんが生まれるとなった時に、育休取得は本人から切り出されたんですか?
- 高橋専務
- 本人の方から「休んでもいいですか?」と声を掛けてくれたと思います。 社内にイクボスのポスターは前から貼ってるし、三島さんも認識はしてくれていて。
- 岩本アナ
- 「もうすぐ子どもが生まれるんですよ」「うちって育休取れるんですか?」みたいな、コミュニケーションの延長線上でという感じですか?
- 高橋専務
- ですね。三島さんは当時アルバイトで、ダブルワークもしていたので、制度的にフルで育休が取れるかどうか確認して、もしできなかったら金銭面が心配なので、会社から少し貸与できるよという話をしたりとかして。
- 岩本アナ
- どういう形で進めたんですか?
- 高橋専務
- 希望の金額を聞いて、一括で支給、というか貸与をしました。 それで、「いつから、いくらずつぐらい返済をする」という会話をして、特別に対応をさせていただきました。
- 岩本アナ
- なるほど。大きい組織や会社では逆にできなさそうなことですね。社員の方に合わせた制度が作れるというのも高橋産業さんの強みかもしれないですね。 そのあたりの手続きや対応はすべて専務が行われたんですか?
- 高橋専務
- そうですね。ただ専門的なところはどうしても分からないので、税理士さんや社会保険労務士さんに相談しながら、やり方を聞いて進めるという感じでした
- 岩本アナ
- 当事者にとってはお金の心配ももちろんあると思うので、会社が金銭面のサポートもしてくれるというのは、育休を取るハードルもまた下がりますね。
- 高橋専務
- やっぱりお金の話ってしづらい部分もあったと思うんですけど、そこを三島さんがものすごくストレートに話してくれたので、ちゃんと協力したいなって思いましたね。
- 岩本アナ
- 直属の上司である佐藤マネージャーは、三島さんが抜けた現場のフォローをされたんですよね。
- 佐藤さん
- はい。正直めっちゃくちゃ大変でした(笑)。
- 岩本アナ
- ですよね。具体的にはどのあたりが大変でしたか?
- 佐藤さん
- 自分はマネージャーなので、マネージャーとしての仕事をしながら、プラス三島さんが抜けた加工の仕事をほぼほぼ自分がやっていたので。あとはたまたまその時期仕事量が多かったってのもあったんですけど。
- 高橋社長
- 佐藤さんが担当している機械が2台あって、もともとはそこに三島さん含めて3人いたんですよ。
三島さんが頑張って1台動かして、佐藤さんがマネジメントするみたいな。そこから三島さんが抜けると、2台を2人で動かさなきゃいけなくなって。
多能工化の加速と現場の成長

- 佐藤さん
- 三島さんのところだけじゃなく、他の部署でも、代わりに誰かがすぐ担当に入れるかって言ったら、すんなりとは難しいと思うんですよ。 だから今、誰かの代わりに誰かが入りやすい体制というのを構築中です。
- 岩本アナ
- なるほど。マルチに扱えるような体制というか。
- 佐藤さん
- 今だと、特定の人が特定の機械を使って仕事をしているので、「この人がいないと稼働が止まる」っていう機械が何台かあるんですよ。
- 岩本アナ
- なるほど。その専門の人がいなくてもできるような体制を今、佐藤さん中心に作られていると。
- 佐藤さん
- 今後取り組んでいくというか、作っていこうという話が進み出している状況です。
- 岩本アナ
- それは、三島さんが育休を取ったことで、そういうカバーの体制が必要だなと感じたのもあるんですか?
- 佐藤さん
- それもありますね。
- 高橋社長
- 多能工化ということも言われているので。
1台しか、一つの仕事しかできないじゃなくて、いろんな機械でいろんな仕事ができるように、カバーし合えるようにしようというのは前から進めているんです。
- 岩本アナ
- やっぱりその人しか使えないともったいないですし、その人に何かあった時にそれが生産できなくなるというリスクもあるわけですよね。
- 高橋社長
- 一部、社内にはそういうところがまだあるので、そこは今後なくしていけるはずです。ある意味育休のおかげでそのあたりが加速しているかもしれませんね。
- 高橋専務
- 良い兆候ですよね。
- 岩本アナ
- ですよね。人間誰しも「いつかやろう」と思っちゃいますので。家事にしても仕事にしても。
休みを増やして過去最高収益を達成

- 高橋専務
- 「育休を取ることができる会社」ということで、自分たちも少し自信を持って、いい会社だなっていう誇りとかプライドを持てたので。まずはその一歩で、すごく充実した気持ちになりましたね。
- 岩本アナ
- 今までは少ない従業員の中で一人欠けるともう無理、というふうになっていたのが、育休に踏み出して、1人が育休で家庭に専念してもらっても、私たちってやっていけるんだっていう自信にも繋がったということですよね。
- 高橋専務
- はい。以前は土曜日も年間13日ぐらい出勤だったんですけど、今年の3月に完全にお休みにしたんです。最初はそこに社長がなかなか踏み切れなくて。製造業だから、製造の時間が少なくなったら生産量が落ちるんじゃないかっていう怖さがあったんですけど。でも結果、それから半年経って決算が来て、過去最高収益を達成できたんです。
- 岩本アナ
- すごい!数字として表れたんですね。みんなやっぱり土日休みになったから、平日に効率よく働くようになったってことですよね。
- 高橋専務
- 時間を減らして、しっかりリフレッシュして仕事をしてくれた方が効果が出るんだって確信できました。他社さんの事例も聞いたりしてたんですけど、大体は良い結果が出るって実証されていたんです。だからやっていない会社さんにも「怖がらずにチャレンジすると、こんな結果が出ますよ」って伝えることができたら、もう少し踏み切りやすくなるのかなって。大体うまくいってますから。
- 岩本アナ
- でもやっぱり社長としては土曜日を休みにしちゃうと、「生産量が・・・」とかっていうふうに考えちゃいますもんね。
- 高橋社長
- そうなんですよ・・・。やっぱりねぇ・・・(笑)。
- 高橋専務
- もう何年もそれで足踏みしてましたから(笑)。
もう私は、佐藤さんにもお子さんの卒業式に出てほしいってずっと思ってたんです。出たことがないって言ってたので。やっぱりそういうのも参加してほしいじゃないですか。
- 岩本アナ
- 結果的に佐藤さん、出れたんですか?
- 佐藤さん
- 出ました!
- 岩本アナ
- おおー!どうでしたか?初めての土曜日のイベントは。
- 佐藤さん
- ぶっちゃけ、卒業式はあんまり感動せんかったですけど(笑)。
- 高橋専務
- 感動してよー(笑)。
- 佐藤さん
- でも、そういうところに初めて立ち会えたので、やっぱり良かったなと思いましたよ。
- 岩本アナ
- でもやっぱり専務としては、育休が取れる会社なんだから、土曜日休みにしても大丈夫って思えたということですもんね。
- 高橋専務
- そうですね。まぁ何より自分が休みたいってのが一番ですけど(笑)。
- 岩本アナ
- (笑)。そうですよね、自分にも繋がりますしね。
- 高橋専務
- そうですね。でも社員さんに「お休みの日にどこか行った?」って聞くと「行ってないです」って答えが多くて。
だから「次はお金だね」って話してるところです。
コミュニケーションと社長の意識改革

- 岩本アナ
- こうした取組を進めて、社内の環境とか社員の変化とかありました?
- 高橋専務
- まず若い従業員が増えましたね。SNS、インスタグラムを利用して求人をやったりもしたので、そこから本当に若返りして。
- 岩本アナ
- あ、それで実際に応募があったんですか?
- 高橋専務
- はい、たくさん。20人しかいない会社なのに、ある年は15人応募が来て。で、9人採用して。
- 岩本アナ
- へぇー!すごい!
- 高橋専務
- でも定着したのは3人だけだったんですけど。まぁ、そんなものかなと。 今後はそのミスマッチを減らせるように、こんな社員さんと働きたいという社内アンケートを取ったりしています。
- 岩本アナ
- それ、おもしろそうですね。どんな意見が出るんですか?
- 高橋専務
- 一番は明るくて前向きな人です。やっぱり明るい人ですね。社内で意見を出しあったら、やっぱりキーワードは「コミュニケーション」でした。 以前、新入社員をたくさん迎えた時に、いろんな方が来られたので、ちょっとコミュニケーションエラーが起きてしまって。
- 岩本アナ
- ああ、大変そうですね。
- 高橋専務
- やっぱり仕事なのである程度の厳しさは求めるじゃないですか。ただその時ちょっと厳しすぎる役職者がいたりとか、それで揉めてしまったりとか。 それをきっかけに人と接することを深く考えるようになって。どんな環境でも、どんな人でも、プラスに受け取れる言葉を選んでいけばいいのかなとか、その時にすごく感じました。
- 岩本アナ
- せっかく入ってくれた従業員が辞めていっちゃった時に、伝統ってのはもちろん大事だけど、変えるところは変えていかないといけないと思われたということですね。
- 高橋社長
- 私は中小企業家同友会に入ってるんですけど、そこで社員さんを大切にするという核を習ったので、そこからどういう会社を作りたいのかとか、どうすれば大切にできるかとか、考えて書き出すとたくさん出てきたんです。
休みを増やしたいとか、一つずつクリアしていって、「幹部3人指名して一緒に成長する」と目標を立てたら、本当に3人がしっかり今やってくれてるので、そういったところでどんどん形になってきてるのかなと思っています。
- 岩本アナ
- どうすれば良く働けるかっていうのを書き出して、一個一個実行していくことで、必然的にこの会社も良くなってきたってことですよね。
- 高橋社長
- そうですね。社員さんから上がってくる意見に少しずつ対応して、これもできる、これもできるっていうのを積み重ねて。
- 高橋専務
- あとは笑顔を絶やさないとか、ちょっとしたことですけど、私たち3人はパワーを与える側になるっていうのは、どこかで暗黙の共通理解としてあると思います。ね?
- 佐藤さん
- ありますね!(笑)。
- 岩本アナ
- (笑)。現場の士気を上げるのが上の仕事だということですよね。
そういう社長と専務の想いがあり、そこに佐藤さんも一緒になってやってくれたのが2、3年ぐらい前で、そこから変わってきたということですね。
- 高橋専務
- そうですね。ただもっと社員さんからも意見は出てきてほしいですね。必要なコミュニケーションがもっともっと取れるようにしたいなっていうのはありますし、逆に距離感が近すぎる時もあるんですよね。そのバランスと質がちゃんと保てるようにしていきたいです。
三島良治さん
取得期間
31日間(2025年6月11日から7月11日まで)
松下愛可さん
配偶者
目次
- 長いようで短い1か月の育休期間
- 孤立を防いだ「大人同士の会話」
- 子育てのために選んだ「仕事の効率化」
- 育休が育んだ「パパへの信頼」
- お客さんファーストから「社員ファースト」へ
長いようで短い1か月の育休期間

- 岩本アナ
- お子さん、可愛いですね。全然パパが抱っこしても泣かないですね。
- 三島さん
- 3か月で、話しかけたり動かすと笑ってくれるようにちょうどなってきました。むしろ喜んでくれることの方が多いと思います。
- 岩本アナ
- いいですね。そもそもどちらから育休を取ろうという話が出たんですか?
- 三島さん
- 妻ですね。取ってほしいからちょっと相談してということで。
- 松下さん
- 全部私がメインでやってしまって、夫が今後も育児の仕方が分からないまま進んでしまうのは良くないかなと思って。取れるのであればまずは育休を取って、ルーティンみたいなものを2人とも体で理解していた方が絶対いいだろうなっていうのがあって。
- 岩本アナ
- それで三島さんから会社の方に話して。会社の受け止め方ってどんな感じでした?
- 三島さん
- まぁ、いけるでしょ?みたいな(笑)。
佐藤統括マネージャーがそんな感じで答えてくれて。それ以前に女性の方が先に育休を取っていたので、女性がいけるんなら自分もいけるでしょぐらいの感覚で。
でもよくよく考えたら男性って育休あんまり取らないよなっていうのは後から感じました。
- 岩本アナ
- 実際育休を終えて、期間についてはいかがでしたか。
- 三島さん
- 1か月って長いようで短かったなっていうふうに感じました。
生まれてすぐって申請のこととかで役所に行ったりとか、保育所の段取りとかで結構せわしなく時間が過ぎていきますし、育児以外もやることがとにかくたくさんありました。
だから1か月っていうのはマストとして、もう1か月でも2か月でも本当は多くとった方がいいよということは、次子どもが生まれる友達とかにも教えてあげたいなと思いました。
- 岩本アナ
- もし2人目ができた時とかはね。期間を考えますよね。
- 三島さん
- そうですね、そこはまぁ会社と相談ですけど(笑)。
できるだけ長く取りたいですね。
孤立を防いだ「大人同士の会話」

- 岩本アナ
- 松下さん自身もやっぱり育休期間があって良かったなと思うところは何かありますか?
- 松下さん
- こっちが初心者の時に一緒に初心者として同じスタートラインに立ってくれて、一緒に成長できたっていうのはすごく心強かったですね。
「産後1か月夫がいなくて大変だった」とか、よく聞くので、そういうのもなかったというのは大きかったですね。
- 岩本アナ
- どんな1日のスケジュールだったんですか?
- 三島さん
- 何をしててもやっぱり仕事の時間には目が覚めちゃうんですけど、だいたい赤ちゃんが泣いて、ミルクをあげ、オムツ替え、で、また寝て、起きたらまたミルクをあげて。夜中でも平気で泣いたりするので、休める時にお互い休んで、という感じでした。
- 松下さん
- 本当にいろいろやってくれました。
それに産褥期間どうしても外で大人と接する機会が減るので、まだ言葉が通じない赤ちゃんだけじゃなくて、大人と接する時間が確実にあるっていうのは心の支えでした。
- 岩本アナ
- コミュニケーションを取る相手がいますからね。
あんまり孤独感なんかも感じなかったということですね。
- 松下さん
- そうですね。私が見れない時に子どもを見てくれるというだけでも、いろんなことがやりやすかったですし。
沐浴ひとつとっても、お湯の温度大丈夫かなとか先に確認してもらったりとかできるんで。
子育てのために選んだ「仕事の効率化」

- 岩本アナ
- 育休を取る前と後で何か三島さんの中で変化がありましたか。
- 三島さん
- 変化ですか。あんまり残業したくなくなりましたね、やっぱり。
今までだと、残業した分だけお金になるので、残業した方がいいなって思ってましたけど。
帰ってからも子どものお世話だったり、料理作ったり、そこに体力を残しておかないといけないので。
- 岩本アナ
- ある意味仕事の効率が良くなったということなんですか?
- 三島さん
- そうですね。定時で終わらせようと思ったら、いろいろ考えなきゃいけないですよね、ダラダラせずに。
- 岩本アナ
- あとは育休を取る際に何か不安だったこととかはありますか?
- 三島さん
- 会社の売上が自分の育休で下がったりするのは嫌だなというのはありました。
でも佐藤さんがフォローをちゃんとしてくれたので。そこはすごく助かりました。
- 岩本アナ
- 佐藤さんへの感謝も大きいですね。
- 三島さん
- ですね。佐藤さんがあんまり苦労を口にしない人で、復帰後もいつも通りの環境で仕事ができたっていうのがすごくありがたかったですね。
復帰する前と復帰した後で接し方も変わらず、自分がいなかったから仕事が遅れているっていうこともなく。
- 岩本アナ
- そこでね、復帰した時に「いない間大変だった」みたいなことを言われたらね。
- 三島さん
- そうですよ。やっぱり取らない方がよかったとかって思っちゃうじゃないですか。
もう本当に1か月間がなかったかのようにスムーズに復帰できました。
- 岩本アナ
- その辺は会社の環境にも感謝ですね。
育休が育んだ「パパへの信頼」

- 岩本アナ
- 復帰後の家事分担はいかがですか?
- 三島さん
- 今は妻が時短勤務で子どものお迎えに行ってもらっていて、私は18時くらいに帰って、晩ご飯をつくったりしてますね。
- 岩本アナ
- それはやっぱり育休を取って実際に子育てをしてみて、松下さんの負担を理解したから、家事はちょっと多めにやらないと、みたいな思いもあるんですか?
- 三島さん
- そうですね。特に料理は献立を考えたり買い出しに行ったり、他の家事に比べてもウエイトがすごく大きいと思うんです。
その部分をとってあげるだけでも、妻が赤ちゃんに使える時間が多くなるので。
- 岩本アナ
- でも、こうやって仕事に復帰したあとに継続してくれるのも嬉しいですよね。
- 松下さん
- そうですね。私が料理あんまり好きじゃないんで(笑)。助かってます。
- 岩本アナ
- (笑)。育休を取ったことがプラスに働いてますね。
土日とか、会社がお休みの日の過ごし方はどうですか?
- 三島さん
- 妻がサービス業なので、どうしても日曜日が仕事になるんですよ。その時は私が見たりしてます。
それも育休期間があったからできるわけで、例えばミルク飲み過ぎて戻した時どうするとか、そういうアクシデントもその期間内にいろいろ起きてたので、その1か月間で前向きに育児できたっていう経験がすごく活きてますね。
- 岩本アナ
- でも、松下さんからしても育休での1か月間、パパの家事や育児の様子を見て、日曜日は安心して託して仕事に専念できていることですよね。
- 松下さん
- そうですね。気になりはするんですけど、彼なりに工夫して計画を立てながらやってたりするので、すごいなと思って。安心してます。
- 三島さん
- 最近、赤ちゃんのベッドにつけられるカメラとかがあって、それをスマホで確認できるんです。泣いたら通知で教えてくれるんで。ちょっと離れててもちゃんと家事ができるような環境にしてます。
- 岩本アナ
- その育休の1か月間の経験がちゃんと活きてるんですね。すごく自信たっぷりで話してくれるので、本当にしっかり育児してきたんだなと伝わってきます。
- 三島さん
- ありがとうございます(笑)。
- 岩本アナ
- 松下さんから感じる旦那さんの変化とかはありましたか?
- 松下さん
- 元々すごくよくやってくれる方だったんですけど、どんどん料理のレパートリーも増えて、毎日いろんなご飯を食べることができて嬉しいです(笑)。
- 岩本アナ
- ちなみに好きなメニューはなんですか?
- 松下さん
- なんだろう。あ、チャーハンが一番好きです。
- 三島さん
- 初めて知りました。(笑)。
- 松下さん
- いろいろ作ってくれる中で、一番頻度が多かったのがチャーハンで。味付けもちょっとずつ変わって、どんどん好みの味に近づいていって(笑)。美味しいです。
- 岩本アナ
- このご飯がまた子どもの栄養にもなったりするから頑張らないといけないですね。
- 三島さん
- そうですね。レパートリーももうちょっと増やさないといけないですね(笑)。
お客さんファーストから「社員ファースト」へ

- 岩本アナ
- 三島さんは一度会社を離れて、戻ってきたら社風がガラリと変わっていたと聞きましたが、何が一番の要因だと思いますか?
- 三島さん
- 一番は社長の考え方が変わったことだと思います。自分だけじゃなくて周りの人も幸せにしようっていう思いが強くなって、経営理念にも「みんなの夢を叶える」って書いてあるんですよ。
前まではこんな経営理念じゃなかったんですけど、お客さんファーストから従業員ファーストに変わったのがすごく大きいと思います。
- 岩本アナ
- それは、これからもここで働いていこうという気持ちにも繋がりますよね。
- 三島さん
- そうなんです。まずは従業員を喜ばせる。その先に、良い製品を作ることによってお客さんを喜ばせるっていう考え方にシフトしたのが、この会社が一番変わったところじゃないかなと思っています。
- 岩本アナ
- 松下さんとしても、そういう会社で旦那さんが働いているというのも安心につながりますよね。
- 松下さん
- そうですね。何かあった時にとりあえず一旦相談してみようって気持ちにもなるので。いいですね。
- 岩本アナ
- ですよね。(赤ちゃんが)専務に抱っこされて寝てますから。
- 三島さん
- 知らんうちに寝てますね。
- 岩本アナ
- 旅行とか行くとき専務に預けてっていうのもありかもしれませんよ(笑)。
- 高橋専務
- いいよー(笑)。ちょっと早い孫ができたみたい。
取材日:2025年9月11日
岩本アナウンサーの取材後記
高橋産業さんの取材を通じて一番に感じたのは、育休が単なる「お休み」ではなく、会社にとっても家族にとっても「新しい強さ」を生むきっかけになっているということです。
高橋社長と専務が「自分たちの苦労を社員にはさせたくない」と始められたイクボス宣言が、現場の多能工化を加速させ、結果として過去最高収益という素晴らしい数字にまで繋がったお話には、私も非常に驚きました。
そして三島さんご夫妻の、チャーハンの味付けの変化を笑い合うような日常の風景。そこには、1か月間ともに育児のルーティンを体で覚えたからこそ築けた、揺るぎない「信頼関係」が見えました。
「残業代よりも、子どもと過ごすための効率化を」という三島さんの言葉は、これからの時代の新しい働き方のヒントが詰まっている気がします。
会社が社員を想い、社員が家族を想い、その結果みんなが笑顔になる。高橋産業さんの掲げる「笑顔製造業」の真髄に触れた、とても素敵なインタビューになりました。
