応援企業003
株式会社テクノプロジェクト

「人が財産」だから育休を推進する。目指すは働きやすさ全国No.1のIT企業。

藤田 恭輔さん

第1バリューデザイン部
第一子・女の子

目次
  • 妻の不安をやわらげたい
  • 目が離せない小さな命がそこにある「不安と喜び」
  • 育休の嬉しい成果
  • おむつとお風呂はお父さん担当
  • 相談しやすい会社とチーム
  • 私生活への会社の気づかい
  • スムーズな仕事の引き継ぎ方
  • 「早く帰りたい」が仕事の効率をUP
  • 子育てしたくなる環境とは

妻の不安をやわらげたい

岩本アナ
藤田さんはテクノプロジェクトに入って何年目ですか?会社的には中堅くらいになるんですかね?それなりに仕事もたくさん抱えて、というような立場で。
藤田さん
8年目だと思います。中堅に片足突っ込んでるぐらいの感じです(笑)。
岩本アナ
育休期間はいつ取られたんですか?
藤田さん
子どもが生まれたのが8月30日で、育休は10月1日から4月末までで、5月のゴールデンウィーク明けから職場復帰ですね。制度上の育休は11月から4月末の6か月間として、10月は溜まっていた有給休暇を利用しています。
岩本アナ
8月30日生まれということは、生後1か月頃から休みに入られたのですね。
藤田さん
そうですね。妻が県外出身で里帰り出産をしていて、戻ってくるタイミングから育休を開始したという感じです。
岩本アナ
今回育休を取得しようと思ったのはなぜですか?
藤田さん
妻は神奈川県川崎市出身、僕は江津市に両親がいて、松江で2人暮らしだったんです。近くに家族がいないというのと、第一子ではじめての子育てだったのもあり、妻が結構不安を抱えていたように感じたので、せっかく制度があるんだから育休を取ってみよう!という感じでした。
岩本アナ
そのタイミングで上司の田中さんに相談をして、快諾していただいたんですね。
実際、奥様に「育休取れるよ」というのを伝えた時はどんな反応でした?
藤田さん
いやもう、すごく喜んでくれましたね。「すごく助かる」と言ってくれました。妻は7月の上旬ぐらいに川崎の実家に帰って、7月から9月いっぱいぐらいまで里帰り出産して、10月にこっちへ戻ってきました。
岩本アナ
生後1か月ぐらいは川崎のご実家で手伝ってもらう感じで、その後戻ってこられたんですね。赤ちゃんとはその時はじめて会われたんですか?
藤田さん
出産の時も現地に立ち会いに行きましたが。いや〜そりゃあもうかわいかったです。
岩本アナ
なるほど「やっと一緒に暮らせる」ってワクワクも背負った育休のはじまりですね。

目が離せない小さな命がそこにある「不安と喜び」

岩本アナ
育休中の藤田さんの役割は何でしたか?
藤田さん
家事全般がメインです。最初の頃、年内12月末ぐらいまでは本当に昼夜がないような感じで。妻が母乳をあげていたので、家事全般を引き受けていましたね。
岩本アナ
奥様がどのタイミングでも、小刻みにでも睡眠が取れるように、家事をサポートしたような感じですね。育休中一番大変だったことは何ですか?
藤田さん
うーん…最初は僕も眠れなかったんです。というのも、子どもが泣くからとかじゃなくて、なんかこう…不安で。布団を掛けてあげるけど、動いた拍子に顔にかぶっちゃって、どうにかなっちゃうんじゃないかとか。何もかもが最初は不安で、自分も落ち着かなかったのがすごく記憶に残ってますね。
岩本アナ
呼吸ができなくなったら…とかね。夫婦2人いてもそのように感じられたんだから、それがもし育休を取れなくて、奥様1人だったらと思うとどうですか?
藤田さん
それはもう、めちゃめちゃ大変だと思います。妻に負担がかなりかかったと思うし、たぶん自分も仕事しながら家のことが気になるし、帰ってから家事をしてという暮らしなんじゃないかと想像しますね。
岩本アナ
それだとお互いに疲弊してしまいますよね。
藤田さん
育休を取って、子どもの成長を間近でずっと見ることができたというのが貴重な経験になりましたね。
岩本アナ
お子さんが7か月、8か月ぐらいまでかな?じゃあ、ちょっとハイハイができたりとか?立つにはまだ早いですもんね。ちょっと首が据わってきて、寝返りができて、そういう目に見える成長が感じられた時期ですよね。
藤田さん
そうですね。立ってはなかったですが、確かちょうどハイハイを始めたぐらいでしたね。

育休の嬉しい成果

岩本アナ
お父さんもお母さんも初めてのことばかりで不安ですよね。そういった不安な気持ちは育休によって解消されたと感じますか?
藤田さん
はい。6か月7か月育児に専念できたので、そこに対する不安はだいぶ夫婦ともに解消できたのかなと思います。
岩本アナ
これが仮に仕事を抱えながらだと、きつい時期もあったかもと思いますか?
藤田さん
思いますね。仕事の都合で早く帰れない日も、育休前のプロジェクトでは結構あったので、その状態だと大変だっただろうなと思います。
岩本アナ
育児って2人で分担してちょうどぐらいの仕事量というか、やっぱりパワー、エネルギーがいるじゃないですか。1人だと子どものお風呂とかも結構大変ですよね。今は子どもさん1歳2か月〜3か月ぐらいで、もう歩いて元気に走り回っているぐらいの時期ですか?
藤田さん
ちょうど昨日くらいから歩き始めところです(笑)。
岩本アナ
えーっ!おめでとうございます(笑)。
やっぱりそういう成長が近くでタイムリーに見られるのはいいですね。
歩き始めたのかぁ…その瞬間を見ました?
藤田さん
見ました!なんか僕がいる時じゃないと歩く素振りを見せないらしくて(笑)。
日中は全然しないのに僕が帰ってきたりそばにいたりすると、ちょっと歩こうとするって妻が言ってて。で、ちょうど僕が見てる時に歩いたんです。貴重な瞬間を。
岩本アナ
早速親孝行をね(笑)。お父さんの存在を意識してるってことですもんね。育休の成果かもしれないですね。
藤田さん
やっぱり帰ってくると子どもの表情が変わるって妻も言っています。帰ってきた時の音がするとなんか分かるみたいで、嬉しそうな顔でいつも待ってくれていますね。さらに「かわいいな!」ってなっちゃいますよね(笑)。
岩本アナ
女の子でしたよね?たまらないですね(笑)。
育休を取ると子育てに対するモチベーションも変わってきませんか?
藤田さん
おむつ替え1つでももう慣れているので、例えば妻がちょっと長時間外出するという時も何の問題もなく面倒を見れますし、自分でも全然やれるなっていう感覚はあります。
岩本アナ
よく子育てに夫が参加してくれないっていうお母さん達の愚痴は「家庭に子どもが2人いる」みたいなね(笑)。「夫と子どもと2人も面倒を見ないといけない」とか。そこをちゃんとしてくれると奥様として気持ちが楽になって、安心して子どもを任せてリフレッシュすることができるのかなと思いますよね。

おむつとお風呂はお父さん担当

岩本アナ
育休を取ったことで、奥様との関係に変化はありました?会話が増えたとか。
藤田さん
育休期間は今まで以上に一緒にいて、1つのことを2人でやっていたので、絆は深まったんじゃないかと感じますね。会話はもともと多い方だと思いますが、育児に関しては、お互いがお互いを知り尽くしている感じですね。
岩本アナ
1歳超えると手がかからなくなるというか、ご飯もある程度自分で食べてくれたりしますよね。今でも育児は分担されてるんですか?
藤田さん
基本的には、僕がお風呂に入れたり、僕がいる時はずっとおむつ替えを担当したりといった感じですね。妻ももう、僕がいる時はおむつ替えを任せてくれています。
岩本アナ
帰ってきたから任せても大丈夫って思ってくれているんですね。信頼してないとできないですよね。「自分がやった方が早い」と思っていたら任せないですし。おむつ替えは大丈夫って太鼓判を押してもらっているんですね。
藤田さん
お風呂もそうですね。ほとんど僕が入れるので、逆に妻が入れようとするとすごく泣くらしくて。不安そうな顔をするって言っていました(笑)。だからもうなるべく早く帰ってこいと言われています。
岩本アナ
信頼できるから、そういう会話が生まれるんですよね。でないと多分育児の話にならないと思うんで。そういった意味でも、本当に育休を取って良かったですね。

相談しやすい会社とチーム

岩本アナ
藤田さんは会社で2人目の男性育休取得者だそうで。しかもたまたま、1人目の方とほぼ同じタイミングで育休の相談をされたとか。でも相談は藤田さんの方が早かったと伺いました。実質1人目のような感じですかね。相談を早くしようと思った理由は何だったんですか?
藤田さん
妊娠が分かったのが1月あたりで、仕事は年度で切り替わるので、3月までには言っておいた方が色々体制を組みやすいだろうと思って、2月の末〜3月の頭あたりの時期に相談をした覚えがあります。
岩本アナ
なるほど。会社の人事も含めて、色々切り替わるタイミングで伝えといた方がいいんじゃないかと。育休を取得する前に仕事のことで不安などはありましたか?
藤田さん
やっぱり自分が仕事を手放すことになるので、手放した後の仕事の状況がどうなるのかっていうのも不安だったのと、育休復帰後にその仕事を忘れてないかとか、そういう不安はありましたね。
岩本アナ
実際取ってみてどうでした?
藤田さん
意外と何とかなったな、という感覚です。プロジェクトの都合でそれまで抱えていた仕事がちょうど育休前のタイミングで少し縮小する感じになって。だから自分は復帰後違うプロジェクトの担当になったので、心機一転みたいな感じで仕事に戻れました。
岩本アナ
また1からみたいな。部署の上司である田中さんも「藤田さんが早めに相談してくれたから仕事の割り振りもうまくできた」と言っておられたんですが、そのあたりはやっぱり部署のみんなの支えとかも感じました?
藤田さん
はい、感じました。自分の仕事を引き継いでくれたメンバーもいましたので。育休を取ることを伝えた時も「すごいねー!」って感じで。同世代で結婚したての人とかは、自分も子どもが産まれたら取りたいなと言ってくれたり。ここから男性育休が広がっていくといいなと思います。

私生活への会社の気づかい

岩本アナ
今後、男性の育休取得が広がっていくためには、どういった制度があるといいなとか、改めて思うことはありますか?
藤田さん
制度上はそんなに問題ないんじゃないかなと思います。子どもが生まれそうになったら連絡をしましょうみたいな通知も出ていますし。なんとなく、僕が取ったからか「男性も育休取れるんだ」みたいな風潮は広がっているように感じます。
岩本アナ
実際に、今年度は6人取得者がおられるということなので。実質ほぼトップバッターみたいな状況だったと思うんですが、相談時は緊張しましたか?
藤田さん
最初言い出す時は少し緊張しましたけど、でも断られるようなことはないだろうと思ってました。もし断られたらもう、それはそういう会社なんだと。ただそんな会社じゃないはずだという自信はあったので。
岩本アナ
そう思われるということは、普段から有給休暇なども取りやすい職場環境なんですか?
藤田さん
そうですね。会社が福利厚生に気を使っているのは前々から感じていて。育休の前例を聞いたことはなかったんですけど、でもたぶんお願いしたら取らせてもらえるんじゃないかと思って相談しました。自分の仕事のことも自分が一番分かっているので、自分で都合をつけて取れる環境だとは思います。上司の田中さんからも、長期の男性育休は初めてだから「これがきっかけに男性育休が広まってくれるといいね」とか「事例ができたら共有してあげてほしい」という話はされていました。
岩本アナ
取締役の高橋さんも、若い人材の定着のためにも育休制度を整えなければならないという話をしておられたんですけど、実際こうやって会社からサポートを受けると「この会社で働き続けたいな」という気持ちを持たれたりしましたか?
藤田さん
それはあると思います。会社から私生活にも気を使ってもらえるのは本当にありがたいことだなと思いますし、さっきも言いましたけど、それで断られるような会社だったらそれはそれまでだな、みたいに思ってしまうかなと思うので(笑)。制度があるのに使えないのが一番良くないと思うので。うちは本当にいい会社だと思います。

スムーズな仕事の引き継ぎ方

岩本アナ
藤田さんの仕事を分担して引き継いだ時の、具体的な方法を教えていただけますか?
藤田さん
育休を取る前の年に新人のトレーナーをしていて、その新人とずっと2人でプロジェクトをやっていたような感じだったので、実務に関しては彼が優秀だったので十分任せることができました。
社内の事務作業や、お金の管理などは、別のチームの同僚に引き継いでいいと田中マネージャーから言われたので、その同僚に「今こういう状況で、こういうふうに進めていて、取引先はこの方で、打ち合わせはこれくらいの頻度でやってる」など伝えました。
あとは、他のIT企業と一緒にシステムの開発をしていたので、相手方の会社のプロジェクトメンバーのリーダーの方にも半年ぐらい前から育休の話をして快諾いただきました。
岩本アナ
藤田さんから積極的にコミュニケーションを取って、準備も一緒に進めていったんですね。
藤田さん
そうですね。後から知ったことなんですけど、一緒に仕事をしていた他の企業のプロジェクトリーダー的な立場の方も、僕が育休の間にどうやら育休を取っていたみたいです(笑)。
岩本アナ
またそうなると、仕事の話ばっかりじゃなくて「育休どうでした?」みたいな話もできますよね。あの人もパパ仲間なんだなって、仕事もちょっとしやすくなったりね。
藤田さん
わからないですけど、案外、僕の育休取得が先方にも波及したのかなって(笑)。

「早く帰りたい」が仕事の効率をUP

岩本アナ
上司の田中さんがおっしゃっていたのですが、育休を取って「家庭大事だな」と感じて、復帰した後「家庭も大事だから早く帰らないと」となるのかなと思っていたのに、藤田さんは「頑張る時は頑張って会社に残っている」と。その辺のオンオフの考え方は育休を通して変わられたりしたんですか?
藤田さん
早く帰りたい気持ちは前からずっとあるんですよ(笑)。でもお金をいただいてやってる以上、やらなきゃいけないことはあるのと、自分1人じゃなくチームでやっている以上、他のメンバーに示しがつかないことはしないようにと。そのへんはある程度、オンオフをしっかりつけてできているかなと思います。
まぁでもその中でも、早く帰りたい気持ちもあるので(笑)。これからはどうやったら仕事を早く終わらせられるかっていうのを考えてやっていかないと!とより感じますね。
岩本アナ
家庭も仕事も、しっかりとバランスとってやっているということですよね。
藤田さんの仕事上の目標やビジョンなどはありますか?
藤田さん
何だろうな。とても語弊のある言い方かもしれないですけど「労力をかけずにたくさんのお金をもらえるような体制を作りたい」ですかね(笑)。いかに効率よく、お客様、つまりエンドユーザーに価値を提供できるか、というところです。
岩本アナ
すばらしいですね。(笑)システムエンジニアの仕事って、そうですよね。いかに効率よくお客さんの抱えてる課題を解決するっていうところですね。

子育てしたくなる環境とは

岩本アナ
奥様は今専業主婦をされているということですが、今後仕事に復帰したいとか、そういった話はされてますか?
藤田さん
直近ですぐにという予定はないですね。結婚を機に退職して、島根に引っ越してきたというのもあるのと、まだ1人目の子どもなので、将来何人か生まれて、ひと通り落ち着いてからかな、という話はしてます。3人は欲しいなと。その時はまた育休を検討したいなと思います。上の子の面倒を見るっていうのもまた発生するんでね。
岩本アナ
もうそんなことまで!僕全然思いつかなかった(笑)。僕ももう1人欲しいなと思っているんです。だけど、もし会社がサポートしてくれないとなると、2人目、3人目はしんどいかもって思っちゃいますよね。
藤田さん
思いますね。それだと、3人欲しいという発想にならなかったかもしれない(笑)。
岩本アナ
少子化で「どんどん子どもを産んでください」って国が言っても、自分が疲弊してまで子育てってできないと思うんで。やっぱり育休で子育てが充実しているから、奥様と次もって、前向きな話ができるように思いますよね。
自分が今後上司になった時も、後輩や部下に「育休取りたいんですよ」って言われてもダメとは言えないですよね。「僕は半年ぐらいだったから、もう1年くらい取っちゃいなよ」ぐらい言ってしまいそうですよね。

田中 啓太さん

第1バリューデザイン部
マネージャー

(ヒューマンリソースセンター
リーダー 秋庭 洋子さん)

目次
  • 育休は早めの相談が吉
  • 「認める」ではなく「推奨する」
  • 社員が大事だから、社員の家族も大事
  • サポートする側への配慮
  • 育休を取る側の礼儀

育休は早めの相談が吉

岩本アナ
田中さんは今回育休を取られた藤田さんの上司ということで。この部署は何人いらっしゃるんですか?
田中さん
10人います。
岩本アナ
そのうちの1人が今回育休を取って帰ってこられたと。
田中さん
令和5年の5月に帰ってきました。今は上司が変わっているんですが、藤田さんから育休の相談を受けた時は私が上司でした。僕が管理職になってから男性の育休では1人目でした。
岩本アナ
最初相談された時は、率直にどう思われましたか?
田中さん
彼自身、ご実家が江津なので松江から遠いのと、奥様が関東の方だというのは以前から聞いてましたので、子どもができたタイミングで相談があって。「仕事の都合などを考えてくれたんだな」と最初に思いました。
岩本アナ
結構早い段階での相談だったんですね。
田中さん
そうですね。子どもができたことを1月に報告受けて、出産後、9月か10月に育休を取りたいと、8か月〜9か月前くらいには相談してくれました。年休と合わせて10月から休みに入って、半年くらい育休を取っています。育児休業を6か月と、有給休暇1か月の合わせて7か月です。
岩本アナ
なるほど。それだけの期間仕事から離れるということになると、もちろん育休は応援してあげたいけど、部署としても上司としても「この仕事どうしようかな」みたいなことも思うわけじゃないですか。
田中さん
思いました。まずはちゃんと考えてくれていたんだなと思いましたけど、次に「あれ、じゃあこのプロジェクトどうしようかな」というのをすぐに考えましたね。人を替えるのか、他の人をあてるのか、部署の中にたくさんのプロジェクトがあるのでいろいろ考えました。ただ、早く相談してくれたぶん時間があったので、何かやりようがありそうだなと思っていました。
岩本アナ
やっぱり早い段階で相談をしてくれたからこそ、部署としても考える時間がしっかりつくれたということですよね。
田中さん
そうです。かなり時間があるっていうだけでも、ポジティブに「じゃあ育休取る方向で考えよう」っていう話がすんなり最初からできました。
岩本アナ
なるほど。やっぱりこれから育休を考えている人はできるだけ早めに相談して欲しいですね。「プロジェクトをどうしよう」と思われたとのことですが、それはどうやって解決されたんですか?
田中さん
その時は、藤田さんと同じくらいの経験年数の者にバトンタッチして、プロジェクトを回していきました。ただ、100%バトンタッチするほど、新しいメンバーには抱えている仕事もあり余裕がなかったので、そこは少し分担するようにしてもらいました。うまくいって、特に問題なく、進行できました。

「認める」ではなく「推奨する」

岩本アナ
田中さんの部署では、男性の育休というものに対してどんな考え方をされていますか?
田中さん
組織全体がすごくポジティブになっています。今年度も1人、別の男性が育休取得しましたし、「来年度に取ろうとしている」と相談をしてくれている人もいるので、取りやすい空気にはなっているのかなと思います。当たり前、とまではまだまだいかないですけど、子どもができそうなタイミングでの選択肢になっていると思います。
岩本アナ
積極的に取ろうという考えの男性社員がほとんどっていうことですかね?
田中さん
そうですね。最近結婚した社員と話すと、もう完全に選択肢の1つになっているなという印象を受けます。まだ子どもの予定はないんですけど、考えている様子でしたね。
岩本アナ
男性育休が取れないと思っている会社だったら、そんな話も出ないと思うので、希望すれば取れるという認識が広がってきているということですよね。
田中さん
はい。最初に育休をアナウンスした時から「育休を認める」ではなく「推奨する」でした。男性育休を推進しますと。管理職もですし社員も、最初からそういう印象でした。
岩本アナ
やっぱり会社が宣言してくれることによって、育休に対して男性の考え方も変わるなと実感されましたか?
田中さん
実感しました。正直、初めての育休取得者が出た時は、まだ私自身、あまり具体的に考えてなかったのです。1人目の育休取得者の藤田さんが結構考えてくれていて、そういった意味では会社から最初にアナウンスがあったおかげで推進できたなと思います。
岩本アナ
藤田さんもおそらく、自分がプロジェクトを抱えていると、なかなか最初は言い出す時に勇気がいったと思うんですよね。
田中さん
彼自身も仕事に対してすごい責任感を持って取り組んでくれていましたので、それがあっての早めの相談だったのかなと思います。ありがたかったですね。
岩本アナ
そうですよね。肌感覚的には何か月ぐらい前に言ってくれればいいな、みたいなのはありますか?
田中さん
希望を言えば1年前くらいですが、それだと子どもができているかも分からないので(笑)。
半年くらい前とか。結婚だとか、子どもが欲しいと思った時に、育休のことも少し考えているのであれば「まだわかんないんですけど選択肢としてどうですかね?」みたいな相談をしてもらえるとありがたいなと思います。
岩本アナ
確かにそれは大事かもしれないですね。まだ子どもができた、できてないっていうのに関わらず、そういう考えがあると、伝えられるものは先に伝えてもらった方が、上司としても準備ができるし、ちょっと心の余裕ができますよね。
田中さん
そうですね。お客様との窓口を担当している場合もあり、そこはぱっと簡単に交代できるケースは少なかったりするので。
岩本アナ
早めに行ってくれた方がフォローしやすいっていうことですね。

社員が大事だから、社員の家族も大事

岩本アナ
育休の輪が広がりつつあるっていうのを今感覚として感じられていると思うんですけれども、田中さんの考え方としては男性育休に関してどうですか?
田中さん
もう完全にポジティブですね。我々の仕事は、頭を使って出した価値に対してお客様から対価をいただくので、結局は「人」なんです。3年ごとに人が変わるとかではなく、ずっとここで働き続けて欲しいと思っていますので、そのために社員の家族も大切にする。社員自身の人生が良くなった上で、この会社に残って活躍してくれると思ってますので、そういった意味でも是非男性も育休を取って欲しいと思います。機械じゃないので、私生活がうまくいかないと仕事のパフォーマンスに影響があると思うので。
岩本アナ
私生活に不安があると仕事に悪い影響が出ると考えると、会社としても不安をちょっとでも取りのぞいてもらえるなら男性育休も推奨してあげたいし、そのための職場環境も整えていきたいというところですね。
田中さん
そうです。あえてドライな言い方をすると、経営上必要な取組だと思っているので、そういう意味でもぜひ取って欲しいですね。
岩本アナ
さっき、取締役の高橋さんも「育休は人材の定着には絶対に欠かせない取組」と言っておられました。「今システムエンジニアは都市部からも引き抜かれる時代で、そこでかなり危機感を持っている」とも。ここで働きたいと思ってもらえることが、会社としても一番ですもんね。そのためのフォローをしていきたいということですかね。
田中さん
そうですね。
岩本アナ
テクノプロジェクトさんでは男性育休に関して前向きな印象を受けるので、今後もこういった輪がどんどん繋がっていけばいいなと思います。
田中さん
私もそう思っています。
岩本アナ
藤田さんは今は田中さんの部署じゃないそうですが、今でも話したりされますか?育休を取る前と取った後で、何か変わったと感じたりしましたか?家庭をより大事にするようになったな、とか。
田中さん
話しますよ。今も部署は同じで、マネージャーが違うだけなので、活躍している様子は日々見ています。それが、育休後は家庭優先になるのかなと思っていたんですけど、結構仕事もバリバリ遅くまでやっている時があって。大丈夫?って声をかけたりします。
岩本アナ
ある意味メリハリがついたのかもしれないですね。育休で取らせてもらえる分、仕事をする時は頑張りたいというような。

サポートする側への配慮

岩本アナ
部署内で「育休を取った人のサポートは負担が多いです」みたいな話はなかったですか?
高橋さんに聞いたら、手当を出すなどして、育休取る人だけじゃなく、残った人たちのケアもしっかりしていきたいとおっしゃっていました。そのあたり、実際の部署内の声はどうでしたか?
田中さん
そうですね。少なくとも残ってサポートする社員の負担は他のところで調整をしていたので、負担があったようには思っていないですね。部署全体としては1人減るんですが、そこだけで何とかではなくて、部署全体だと人数が多いので、その中で調整しました。
岩本アナ
うまく分担をされたわけですね。
田中さん
はい。結果的に藤田さんが育休を取ったことで、誰か1人だけが負担が増えたっていう状態にはならなかったので、不満は出てこなかったです。少なくとも私の耳には届いてないです(笑)。
岩本アナ
いろんなメンバーの分担や分配を決められた時のコツというか、具体的にどういうところに配慮したなどありますか?
田中さん
そうですね。育休のためだけではないんですが、属人化しないように普段から働き方を考えてもらうっていうのはすごく大事だと思っています。
岩本アナ
システムエンジニアの業務というのは、どのぐらい個人の能力差が出るもので、それをどう埋めていこうとされているんですか?
田中さん
能力による差は大きいと思っています。同じ年次の人でも全然違ったりするんで。そこは、その人しか分からないやり方や知識は、なるべくないようにして、きちんと可視化して体系的に整理することで、経験が浅いメンバーでもできるようにと心がけていますね。
岩本アナ
育休で残った人たちがしっかりと分担してくれると、育休への後ろめたい気持ちはなくなっていくと思うので、そういうところを大切にしていきたいですね。会社としても手当などで、残った人たちのケアをしていくという方針だと、上司しても安心というか。
田中さん
そうですね。でも私はまずは、特定の誰かが負担が増えるということ自体を避けたいですね。
普段からいろいろ外的要因によって、我々の仕事の状況は変わるので、藤田さんの育休もその中の1つという位置付けで、仕事の面では特に大ごとにはなりませんでした。

育休を取る側の礼儀

岩本アナ
うまくいったのは、田中さんの手腕もあると思うんですけど、事前の相談も功を奏したのかなと思いますね。予め言ってくれたから、うまく仕事を分配できたし、誰かの負担が大きくなるようなこともなかったと。色んな人にちょっとずつ部署の人たちも心の準備もできただろうし。
田中さん
おっしゃる通り、相談が早かったおかげですね。
岩本アナ
男性育休を取る側の礼儀なのかもしれないですね(笑)。
会社だったり、上司が育休を取りやすい環境を作っていくというのはもちろんですけど、取る側も自分が仕事を抱えている以上は絶対早めに言ったほうがいい。その方が会社としてもケアしていきやすいですもんね。育休を「取る人の権利だ!」と一方的にとらえるのではなく。
田中さん
そうですね。就業規則だと育休の相談は1か月前までになってるんですけど、短いなと思いますね。会社としても、取りたい方は早めに連絡してくださいと広報はしていたみたいなんですが「え?」みたいなこともあったみたいですね。
岩本アナ
僕もちょっと言うのが遅かったと思うので、会社に迷惑かけたという気持ちがあるので。
インターネットを見て1か月前に言えばいいと思っていてちょっとギリギリだったんですよ(笑)。だから少しバタバタしてしまって、申し訳なかったなと。次もし2人目で育休を取ることになったら、就業規則で1か月前って書いてあっても、絶対に事前に言った方がいいと、田中さんの話を聞いてより思いました。
田中さん
正確に言うと、私からも「どう?育休取れるよ」と声をかけるんです。今思えばやっぱり早く言ってくれた方が嬉しいし、助かるからっていうのもあったと思います(笑)。早いうちから希望聞いておこう、みたいな。
岩本アナ
会社として宣言してくれているから「育休も取れるから相談して」と、田中さんも声をかけやすいですよね。
岩本アナ
男性育休は平均的に皆さんどれくらいの期間とられる方が多いんですか。
秋庭さん
藤田さんが一番長かったですが、今年度1年取る方が出ました。でも大体平均して2~3か月かな?2週間とか短い期間を取られる方は少ないです。
岩本アナ
みなさんどんなタイミングで取られるんですか?
秋庭さん
出産のタイミングの方もいれば、奥様が復職するタイミングの方もいます。
上のお子さんがいる方は、生まれてすぐ取られる方が多く、第1子の場合は奥様の復職のタイミングで。2回取る方もいます。これからいろんな育休パターンが出てくるかなと思っています。
岩本アナ
テクノプロジェクトさんにはいい流れができてきているんですね。その際はまたぜひお話を伺いたいです。

高橋 寛さん

取締役
兼CHRO(Human Resource)
兼CBO(Branding)

目次
  • 家庭のサポートがあってこそ、仕事で100%出せる
  • 働きやすい環境がいい人材を呼ぶ
  • 育休を支えるための課題と工夫
  • 休む人と、サポートする人、それぞれの思い
  • 育休経験者だからわかる気持ち
  • 育休が終わっても、子育ては続く
  • みんなで「がんばれ」と言える職場へ

家庭のサポートがあってこそ、仕事で100%出せる

岩本アナ
テクノプロジェクトさんすごいですね。
男性育休が、今年度もう6人もいらっしゃるんですね。
高橋さん
もうみんな基本的に育休を取ることを前提でやってくれているので、ちゃんと計画的に取ってくれています。
岩本アナ
今年度は全員取っておられるんですね。これはやはり1人が取ってから急速に進んだ感じですか?
高橋さん
そうですね。全社的にも「育休を取りましょう」とアナウンスしたこともあって、それを認めてくれる上司の後ろ盾が大きいと思うんですけども。今はみんなが取るようになってきています。ただ、期間の長さは色々あります。2週間ぐらいの人もいれば、長い人は1年という人も。
岩本アナ
育休について、高橋さんはどうお考えですか?
高橋さん
以前から私は育児にしても、介護にしても結局みんなが通っていかなきゃいけない道であって、それぞれそのライフステージによって必要になってくるので、社員同士で協力し合ってサポートできたらいいなと思っています。
岩本アナ
仕事と家庭の両立っていうのに重きを置いておられると。家庭があるから頑張れるというところで、会社として応援してあげたいということですね。
高橋さん
そうですね。やっぱり家庭のサポートがないと仕事って100%力が出せませんので。
あと、もう若者の価値観というのもどんどん変わってきていて、男性育休取得が推奨されている会社の方が働きやすいですし、働いて良かったと思ってくれると思うので。サポートすることで、若者の定着率も上げたいと考えています。
岩本アナ
良い人材に会社に定着して欲しいとなると「この会社だったら働き続けられるかもしれない」って希望が見えた方がいいですよね。そういう意味では育休や、介護にしても休みが取れるっていうのは明るい話題ですよね。

働きやすい環境がいい人材を呼ぶ

岩本アナ
システムエンジニアの方が主に在籍されているということで、やはり「手に職系」だと引く手あまたですよね。人材獲得も、困難なのですか?
高橋さん
コロナになって特に進んだんですが、東京の会社が在宅でいいから、松江のエンジニアを引き抜くなど、やっぱり結構あって。今までだとそこに行って働くっていうのが当たり前だったのが、今は働く場所を選ばないことになってきたのが私たちの危機感でもあります。競争相手は地元だけじゃないんですよね。
岩本アナ
今やもう地方にいても都市圏の仕事ができる時代ですもんね。本当に働きやすい環境を会社として作っていかないと、人材流出が加速してしまうってことですね。
高橋さん
おっしゃる通りです。流出もしますし、採用もできなくなってくるので、まずちゃんと入社してもらわないといけないし、できるだけ長く働いて欲しいなと思っています。
岩本アナ
会社の礎って人がいてこそですもんね。男性育休を含めて働きやすい環境を作っていくというのは重要かもしれませんね。

育休を支えるための課題と工夫

岩本アナ
育休を取り入れるために何か苦労したことはありますか?
高橋さん
実は今、まさに課題を感じていて。
育休を始める、育休を取ってもらうことはそんなに難しい話じゃなかったんですけど、育休を取っている人の職場のサポートが十分できていなくて。短期間とはいえ人が抜けて、その間仕事が少なくなるわけじゃないので、サポートするメンバーに負担がかかってくるので。そこのケアが十分できていなかったので、今それをちょうど対策を練っているところです。
岩本アナ
対策というのはどのようなものですか?
高橋さん
代わりの人を入れるというのが一番ですけれど、それは簡単じゃなくて。
雇うのもそうですが、派遣の方や協力会社さんに入ってもらうとしても、私たちの仕事ってすぐできるわけじゃなくて、1つのシステムを作る時にその業務の知識も持たないといけませんし、システムの理解もしないといけない。となると、仕事が回せるようになるまでに数か月かかるんです。育休の期間だけ人手を補完してもすぐにできないので…。今考えているのは、残っている人たちへの手当を出そうかというところです。
岩本アナ
頑張ってくれている人へのケア。金銭的な手当ということですか?
高橋さん
そうですね。今全国的にもそれを始めている会社がいくつかあるので、参考にしながら制度作りをしようとしています。
岩本アナ
やっぱり育休って家族の幸せな瞬間のために取るものなので、残った人が「なんで俺の仕事が増えるんだよ」というネガティブな気持ちになってしまうと、なかなか育休は広がらないと思うので、会社としてそういう手当を出してくれたら「がんばれよ」と快く送り出せる人が増えるかもしれないですよね。
高橋さん
そうですね。あと育休を取る本人が気兼ねなく取ることができるのもあります。
「自分が抜けた後に仕事をみんなにやってもらうのが申し訳ない」と躊躇する人も、実はいまして。そういう人が育休を取りやすくなるという面もあります。
岩本アナ
そうですよね。自分が抜けることでその仕事が誰かの負担になってしまうと考えてなかなか取りづらいというのは、今男性の育休推進の課題の一つでもあります。会社から手当が出るというのは、一つ心のよりどころになるかもしれないですね。システムエンジニアの仕事は、引き継いで他の人が担当できたりするものですか?
高橋さん
基本的に1人でやっているわけではなく、チームで取り組むようにしているので、その人の部分を他の人もある程度は分かっているから、メンバーでサポートすることはできます。
岩本アナ
手当があると、よりサポートを伸ばせるようなところもありますね。
高橋さん
そうですね。今はまだ残業代しかなくて、残業代をもらうよりも、早く帰りたいという人もいるので。手当を育休から復職するまで毎月払うか、一時金的に払うかというところも含めて、現在検討中です。

休む人と、サポートする人、それぞれの思い

岩本アナ
育休を取って帰ってきた後の社員の声などはどうですか?
高橋さん
私はあまり直接は聞いてないですが、良かったとの声があったと聞いてます。
奥様と協力できたのが良かったとか、大変さがわかったとか。
岩本アナ
育休でスタッフが抜けた部署側の声はどうですか?やっぱり「仕事量が増えた」みたいな声もありますか?
高橋さん
それはあります。1人に業務が集中しないよう努めていますが、ちょっと不満として出てきている面もあるので、急いで手当の制度を整えようとしているところで。
育児も介護もみんなお互い様と言いましたが、子育てが全部終わっている年配の世代から見ると「私の時はなかったのに」という人もいれば、若い世代の方でも、「結婚しない」とか「子ども作らない」っていう人もいたり、それぞれ考え方がばらばらなので。そういった面は不満につながりやすいかなと思ってます。
岩本アナ
やっぱりそういう不満があると、育休の定着にも繋がりにくかったりしますよね。
難しいですよね…。今年度で6人となると、1つの部署から2人抜けたり、重なるところも出てきますよね。ただ、出産の期間をずらせなんていうこともできないですし。
高橋さん
そうですね。女性の場合は結構早めに分かるんですよ。妊娠した時ぐらいから相談があるんですけど、男性はそれがなくて。「生まれました。育休を取ります。」みたいな。急もありますし、半年前から言われる方もおられますし、バラバラなんですよね。
岩本アナ
やっぱり女性は出産予定日があるので、自覚してくるっていうのはあると思うんです。男性は子どもが生まれて、産声を聞いて初めて実感が湧く方もいるから、育児への感覚がまちまちなのかもしれませんよね。
高橋さん
職場の部署のメンバー、特に上司は準備が必要になってくるので、申請のタイミングをもう少しルール化した方がいいかなと。まだそこも全然できてないので。
岩本アナ
確かにそうですね。出産予定日が分かっているので、本来なら育休の期間というのは予め決められますもんね。いつまでには相談してもらうというのを、会社でルールとして決めておくことは必要かもしれませんね。育休が広がっているテクノプロジェクトさんでも、そういった課題が様々出てくるということですね。育休を取った人や、残った部署の人の声を聞いて、どんどんいい仕組みを作っていかないといけないですよね。
高橋さん
そうですね。まだまだだと思っています。取った人がそのうち上司になったら、もっともっと取りやすくなってくるかなと思うので、今はちょっと過渡期でもあるかもしれません。
岩本アナ
そうですね。やっぱり自分が取っているのと取ってないのでは、今後入ってくる新しい社員の人への考え方も変わってくるだろうし。

育休経験者だからわかる気持ち

高橋さん
私自身31年前に転職したんですけど、その時ちょうど娘が生まれて。4か月勤めなかったんですよ。いわゆる育休じゃないんですけど。そういえば私自身も育休を経験していました。育休の形は違うけれども、育児は大変だったな、と。
岩本アナ
では、高橋さんは、子どもが生まれた時に4か月ぐらい奥様と一緒に子育てに向き合った時間があったということですね。そういうのを経験すると「育休を取りたい」という声を理解できますよね。高橋さんは、当時のその4か月の間、どんな形で育児をされたんですか?30年前とのことで、かなり記憶を遡っていただいて。
高橋さん
子どもは2人いて、1人目の時の話です。食事作ったこともあるかもしれません。あとは、おむつを替えたりとか、そういうのを分業してた気がします。
岩本アナ
2人目の時はもうバリバリお仕事をされてたんですか? 1人目と2人目で、全く違いました?
高橋さん
そうですね。私も妻も1人目の時はやっぱり不安が大きいし、何をやっていいか全然分からないから、逆に2人目の時は早かったですよ。数週間で仕事もし始めました。実家で同居していたので、僕の父母が子どもをみてくれたというのもあって。2人目は半年ぐらいで保育園に行き始めた気がします。
岩本アナ
確かに1人目の出産って不安ですよね。うちは1人娘がなんですけど、やっぱり2人目はもっと楽になるよみたいな話を色んな人から聞きます。1人目の時は不安で色々するんですが、2人目だと「これぐらいでいいか」みたいな感じになると。1人目の時は、より育休を取ろうと意識した方がいいかもしれないですね。
高橋さん
そうですね。1人目の時は。
岩本アナ
プライベートで不安を抱えてると仕事もなかなか身に入らないですよね。システムエンジニアって細かな作業というか、気を遣う仕事だと思うので、家庭面での安定っていうのは仕事の安定にも繋がってくるかもしれないですね。このまま継続して男性の育休が繋がっていくといいですね。私の職場では、僕に全然続いてくれなくて。
高橋さん
そうなんですか(笑)?上司の反応とかがよくなかったとかですか。
岩本アナ
上司の反応はすごく良かったんです。テレビ局は育休推進をニュースで訴えたりしているので、そういうところにみんなアンテナはあるんですけど、さっき高橋さんもおっしゃった「ほかの人に業務が…」とか、「自分が抱えてる仕事が他の人に行っちゃう」という不安を抱えてる人が多いみたいで、なかなか進んでない状況もあるので。そういった意味で手当というのは大事になってくるかもしれないですね。
高橋さん
本当にそうだと。

育休が終わっても、子育ては続く

岩本アナ
実際、育休を推進していることは、リクルートへの効果などは出ていますか?面接などで「育休が取りやすいと聞きました」みたいな。
高橋さん
育休というか、子育てがしやすいという声はありますね。そういうのがイメージしやすい。
岩本アナ
やっぱりそういう子育てがしやすい会社だと思って、受けに来ましたっていう人もこの数年では増えてきていますか?
高橋さん
増えていると思います。あえてそこだけ聞いていないので、具体的にどのぐらい増えたかは分からないですが。
岩本アナ
島根県内で男性の育休が進んでいくために、何かちょっとアドバイスなどありますか?
高橋さん
うーん。他社がやっているからやる必要もないかな、と思うんですよね。それぞれの企業の都合もあるので。ただやはり、ちゃんと社員と向き合って社員が喜んでくれることができるといいかなとは思いますけど、育休でなくても時短でもいいと思うんです。
あと、男性の育休ってまだ1年じゃないですか。育児は実はその先、子どもがどんどん動き始めてからの方が大変だったりするので。
岩本アナ
そうですね。育休が終わっても子育てが終わるわけじゃないですしね。
育休に限らず、子どもの運動会で休みが取れるとか、子育てだけではないですが、仕事と家庭を両立しやすい職場づくりが今後必要ですよね。
僕、今年はもう3回ぐらい子どもから風邪をもらって。子どもが熱が出ると急に帰らないといけないとか、保育園にお迎えに行かないといけないとかあるので。
高橋さん
岩本さんがされているんですか?
岩本アナ
僕にも電話がかかってくるようになっていて。妻と相談して、妻が今無理な時は僕が会社に聞いてみる、みたいな感じです。子育てに関して、うちの会社は結構寛容なので「保育園が休みなので日曜日もできるだけ休み取らせてください」とかもできてたりするんです。でもそこが難しい会社だったとすると転職を考えることもあり得るかもしれないですよね。

みんなで「がんばれ」と言える職場へ

岩本アナ
昔は「男は仕事」って言っていたかもしれないですけど、今会社には「家庭をいかに充実させてあげられるか」っていうのも求められてるかもしれないですね。
高橋さん
そうだと思います。昭和は会社とか組織みたいだったのが、平成になって個人になってきて、それもまた変わってきてやはり結びつきとかシェアの方になってきているので。そのあたりはどんどん変わっていくと思います。
岩本アナ
そうですね(笑)。今はもう本当にいろんな考え方を持った人がいて。昭和の時代みたいに1つの目的にむかってガーっと進める、みたいなのが強行的にできなくなっているんで。やっぱりそこは会社としてもしっかりとサポートしていかないと人材の定着にも繋がらないし、経営陣としては自分自身の首を絞めることにもなりかねないですから、そこは頑張って推進していかないとなっていう思いはありますよね。
岩本アナ
システムエンジニアという職業自体は男性の方が多いんですか。
高橋さん
うちは今は4分の1が女性です。全国的にはもうちょっと女性が多いと思います。
岩本アナ
男性と女性で働き方や考え方で違っていると感じるところはありますか?
高橋さん
女性の「管理職になりたくない」というのは男性よりも強いように思います。ただ、うちの場合は特にそうですけど、給料とか全然性別での違いがないので、もう全て同じですね。女性の方が休暇の種類が多かったりはしますけど。フィメール休暇(生理およびその前後の体調不良による休暇:有給)があるんですよ。ただ取る人はそんなにいないです。そこに関してはまだ理解の問題があるかもしれないです。
岩本アナ
男性が経験できないっていうのもあるのかもしれないですね。本当に女性にとっては辛いものだと思いますが。手当も大事ですけど、理解も大事というか。
高橋さん
そうそう。「上司が嫌な顔をしない」が一番大事かもしれないですね。
岩本アナ
ホント、その通りだと思います。みんなが嫌な顔をせずに男性も女性も育休を取れるっていうのが大事だと思うので。1人でも嫌な顔をすると、取る当事者だって、後ろめたい気持ちで取るっていうことになっちゃいますよね。本当におめでたいことですからね、子どもが生まれるということは。
高橋さん
そうです。そういうふうにしないといけない。
「ありがとう」ですよ。

取材日:2023年11月9日

岩本アナウンサーの取材後記

テクノプロジェクトさんの取材を通して一番に感じたのは、高橋取締役を筆頭に、部署や立場に関わらず全員が社内の環境改善に対する意識が高く、前向きであることです。

そのような土壌に、社内での男性育休のパイオニアである藤田さんの強い意志が合わさることで、そこから続く「子どもができたら男性も育休を取るのは当たり前」という現在の流れに繋がっているのだと感じました。

会社の財産は「人」だからこそ「育休も推進」という考え方は、全国にライバル企業が存在する業界で、優秀な人材確保できるか?ここで働き続けてくれるか?という大きな課題に対しても有効なアプローチになっていますよね。それはきっと、ITに限らずどの業種でも重要になる考え方だと思います。

田中マネージャーの「ここで働き続けて欲しいから、社員の家族も大切にする」という言葉は、そんなテクノプロジェクトさんの姿勢を見事に言い表していて、ここで働く社員の方はやりがいをもってモチベーションを高く維持できるだろうなと強く思いました。

また、今後も社員の育休を取りやすく、仲間としてもしっかり送りだしてあげられる環境や制度も整えていくということで、テクノプロジェクトさんの発展や新しいアイデアからも目が離せません。