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共立エンジニヤ
「ライフのためのワーク」をテーマに育休を推進。新卒離職率0%の職場環境とは?
伊藤 隆洋さん
技術一部 設計課 主査
長女:5歳/長男:0歳
※取材時、産後パパ育休期間中
目次
- 1人目の時の反省をバネに
- 育休を分けて取る
- 任せてもらえるのが嬉しい
- 分からなかったらまず「妻の休ませ方」を考える
- 育休で変わる仕事へのスタンス
- スムーズな引き継ぎ&復帰への準備
- 育休にも重要なのは「報・連・相」
- 「休んだら困る」から「休んでも大丈夫」へ
1人目の時の反省をバネに
- 岩本アナ
- 伊藤さんは共立エンジニヤさんに入社何年目で、現在はどんなお仕事をされているんですか?
- 伊藤さん
- 前身の会社がございまして、そちらの期間を含めると入社14年目で、今は主に橋梁点検の仕事をしております。
- 岩本アナ
- たくさん仕事も抱えていらっしゃる中で、今回、社内で初の育休を取られた男性ということですが、取ろうと思ったきっかけはなんですか?
- 伊藤さん
- 1人目が生まれた時に単身赴任中でして、思うように育児に携われなかったことがあり、今回取得させていただきました。2人目が6月に生まれて、今ちょうど3か月です。やっと首がすわり始めてきました。上が今5歳で女の子、下が男の子です。
- 岩本アナ
- 1人目と違って、今回育休という形で育児を積極的にされて、ご自身の中で何か変化はありましたか?
- 伊藤さん
- そうですね。育休をとらせていただいて、育児家事を全般的に妻と分担しながらしているんですけど、しないといけないことがとても多くてですね…大変さを痛感しております。
- 岩本アナ
- 1人目の時、奥様は大変だっただろうなって感じます?
- 伊藤さん
- そうですね、周りからも1人目の方が本当に大変だというのはよく言われますし、私もそう思いますね。育休を取って初めて知ったことが色々あって、大変だなと感じます。
- 岩本アナ
- 1人目の時は単身赴任ということで、育児にはほとんど携われなかったのですか?
- 伊藤さん
- そうですね、ちょうどコロナ禍になってしまって、なかなか帰ることもできなかったので、妻の実家で義理の両親に一緒に子育てしてもらっている感じで。非常に迷惑をかけたなと思っています。
- 岩本アナ
- では、この2人目誕生をきっかけに、ようやくご自身の中でも育児に携わることができたなという感じなんですね。育児をしていて特に大変なことって何ですか。
- 伊藤さん
- 今はまだ授乳期間中なので3時間おきに起きますし、寝かしつけは大変ですね。
必ずどちらかが泣いているのに気づいて、最初におむつを替えて気持ち良い状態にしてあげてから、妻に授乳してもらって、その後に私が寝かしつけを替わるとか、そういった形で分担してやっています。
- 岩本アナ
- 大変な中でもやりがいはありましたか?
- 伊藤さん
- そうですね。仕事とはまた違った部分で、家庭面での仕事じゃないですけど、そういったやりがいはすごく感じています。
育休を分けて取る
- 岩本アナ
- 伊藤さんは6月にお子さんが生まれて、2回に分けて育休を取られたんですよね?
- 伊藤さん
- そうですね。昨年の10月に産後パパ育休というのが創設されたと思うんですけど、産後すぐの7月にまず最初の育休を取らせていただきました。8月は通常通り出社して、9月、10月と、2か月また育休を取らせていただいているという状況です。
- 岩本アナ
- まさに今育休中ということですよね。今日は久々にスーツを着たというような。
- 伊藤さん
- 肩が重いです(笑)
- 岩本アナ
- ただ、やっぱり産後というのはお母さんは産んだばかりで、身体に相当のダメージがありますよね。その中で男性がやらないといけないことも結構あるじゃないですか?
- 伊藤さん
- そうですね、例えばなんですけど、上の子が保育園に通っているんですけど、産まれた直後は妻が睡眠不足になりがちということで運転も危ないので、徹底して私が送り迎えするようにしていました。
- 岩本アナ
- そうか、2人目ならではの育休のあり方というのがあるんですね。私は第一子で育休を取ったので全くその考えはなかったです。上の子の保育園の送り迎えは毎日されているんですか?
- 伊藤さん
- 基本的には毎日しています。
まぁ日によってはやっぱり、「今日はお母さんに送ってもらいたい」という時もあります。その時は、妻に送ってもらって。
- 岩本アナ
- その時は「下の子は僕が見とくよ」というような?そういう意味ではしっかり分担ができてますね。
やっぱり育休中って、授乳など男性にできることが女性に比べて少ないのを感じてしまいますよね。だから何とかして助けになりたいなと、食器を洗ったり、家事をやったりというのはあるんですけど。そういう中で2人目っていうのはやることも増えるので、予め育休を取るのはいいことですよね。私もまた子どもが生まれたら育休を取りたいなと思ってます。
任せてもらえるのが嬉しい
- 岩本アナ
- 今育休中ですけど、今のところどうですか?取って良かったなというところは?
- 伊藤さん
- 妻と一緒に育児できるということと、24時間子どもと触れ合うことができるということがまず良かったと思えることです。その上で妻から感謝の気持ちを述べられた時は本当に良かったなと実感します。今の育児の大変さを思えば1人目の時は妻が全部やっていたので、その点について非常に感謝したいなと感じています。
- 岩本アナ
- お互いに感謝の気持ちが生まれて。こんなに大変だったんだと、育休を取って改めて気付きますよね。
僕も生まれてからすぐ取ったわけじゃないので、生まれてからすぐって大変だっただろうなと思いますね。今まさに伊藤さんがその時だと思うんですけど。奥様から感謝の気持ちはどんな形で?
- 伊藤さん
- 1人目の産後に妻がちょっと精神的に不安定な時期があったんです。
今回私が育休を取ったことによって、産後の気分の落ち込みもなく過ごすことができて、「余裕を持って育児をすることができた」と言ってくれました。
あと、妻は子どものことは全部自分でやらないといけないと思いがちだったらしく、私が育休を取ったことで「任せてもいいんだ、自分1人でするものじゃないんだ」と気付き、気持ちが楽になったと言っていました。
あと、「たくさん私が指示をして動いてもらってるんで、仕事の時よりきっと大変だと思います」と(笑)。
- 岩本アナ
- すごくいい言葉がいっぱいですね。まず「余裕を持って」というのはどうしても育児を1人でやると難しいんですよね。その中で、夫婦2人でやると、交代とか休憩する時間とか、少し「余裕」が生まれて、子育てにもいい影響が出てきますよね。
あと「任せてもいいんだ」というのがすごく良いですね。やはり男性が育児に協力的でないと女性はいきなり任せられないと思うんですよね。「全部私が守ってあげなきゃこの子死んじゃう」と思ってしまうと思うので。そういう意味でも「夫がこれだけやってくれるなら、任せてぐっすり眠れる」など心の余裕も生まれてきますよね。1人目の時よりも任されることが多いですか?
- 伊藤さん
- そうですね、1人目の時は土日しか帰れていなかったので。しかも当時の勤務地が岡山だったので、移動時間に疲れて結局すぐ1人で寝てしまって、何一つできていないという不甲斐なさしか残っていなくて…。なので2人目はこれだけ育休をいただきましたので、しっかりと育児に携われているなって実感はあります。
- 岩本アナ
- 1人目の時はおむつ替えをやってとかミルクを作ってとか、言われなかったですか?
- 伊藤さん
- おむつ替えとミルクは、それなりに1人目の時からやってました。分量に気をつけて、お湯沸かしてといった感じで。
- 岩本アナ
- やっぱり、伊藤さんはもともと育児への意識が高いですよね。
なかなか最初はおむつも替えたことないとか。僕の父なんて、おむつ替えをしたことがなくて、僕がおむつを替えている姿を見るだけで「すごいな」って言われるんですけど、その考えじゃダメだろっていう。
- 伊藤さん
- 実は私の実家の父も同じです(笑)。
- 岩本アナ
- 「任せることができる」っていうのは育休を取った人の奥様ならではの気持ちかもしれないですね。こっちとしては任せてもらいたいですもんね。
- 伊藤さん
- そうですね。育休を取ったからには、いろいろ任せて欲しいですね。
分からなかったらまず「妻の休ませ方」を考える
- 岩本アナ
- 育休中に自然に奥様と分担されていたそうですが、世の中的には「育休を取るだけ取ったけど何をしていいかわからない」という男性も多いらしいんです。どういう意識で育休に入られましたか?
- 伊藤さん
- よく聞くことかもしれないですけど、おそらく育休中も自分の時間を作りたいという方は結構おられると思うんですよね。育休を取得できる機会に、自分のやりたいことへの時間を増やすという考え方になりがちかなと、ちょっと思ってます。
- 岩本アナ
- これを機にちょっと資格を取りたいからとか。
- 伊藤さん
- 空いた時間を自分のやりたいことをするのに使うんじゃなくて、自分の時間は必ず短くなる前提で、まずは妻のサポート。妻への思いを大事にして、育休期間を過ごしていただけたらいいのかなと、個人的には願っております。
育児は本当にあっという間に1日が過ぎてしまうほど大変なので。育児経験されている方は分かっておられると思うんですけど。
- 岩本アナ
- 「育児休業」といっても、いや、休みじゃないんですよって。
やってみたらすごく大変ですよね。朝起きてすぐご飯を食べさせるところから、お散歩に連れてって、昼ご飯食べさせて次はお昼寝という感じで。1日つきっきりで自分の時間ってほとんどないんですよね。僕も唯一、子どもが夜寝てからちょっとゆっくりする時間にしていましたね。でも、子どももいつ起きるか分からないですから。別の部屋で何か作るとか、ずっと子どもから離れるということができないんですよね。
- 伊藤さん
- 本当におっしゃる通りで、いつ起きるか分からないですからね。3時間と決まって起きてくれればしっかりそこに時間を費やすこともできると思うんですけど、なかなかそれもできないですよね。
- 岩本アナ
- いつ起きるか分からないというのは、特にお母さんにはすごい負担がかかるなと思いますよね。
やっぱり1人ではなくて2人で育休を取るとほんのちょっとだけでも自分の時間が作れたりしますしね。
- 伊藤さん
- そうですね。交代交代であれば、それなりに作ることも可能ですよね。
- 岩本アナ
- ずっと育児とか子どものことにつきっきりになると、男女関係なくちょっと気分が落ちてしまうというか。やっぱり2人で一緒に子育てをして、お互いにリスペクトがあって、それぞれの時間が少しでもあると心の持ちようとか、全然違いますよね。
今はもう自分の趣味とか全くできてないですか?
- 伊藤さん
- そうですね、会社に釣り部っていうのがあって、たまに誘っていただくんですけど、ちょっと参加できていないですね。以前とはちょっと状況が違いますね。
- 岩本アナ
- 女性は産後の体調の変化も大きいから、男性側は、何をしていいかわからない場合も、「まずは妻を少しでも休ませてあげる」と考えるのが大事だと改めて感じました。
- 伊藤さん
- 産後1か月って交通事故を受けるのと同じぐらい身体にとって大変なダメージがある時期らしいので、特に注意して一緒に子育てをするのが大事なんだなって思いました。
今回新たに創設された産後パパ育休というのは、非常に良い制度だないうのはすごく感じます。
- 岩本アナ
- 確かに。一回しか育休が取れないと、どこで取ろうか悩みますもんね。
- 伊藤さん
- そうですね。どのように分割して取るのかというのも会社と色々相談しましたね。
- 岩本アナ
- 伊藤さん、子どもが生まれた時、立ち会いをされたとのことですが、立ち会いをするといかに出産が大変かというのが分かりますよね。
- 伊藤さん
- そうですね。…これはあまり言っていいものなのか…本当に大変そうで…。
- 岩本アナ
- ですよね。「死んじゃうんじゃないか」ってぐらい大変そうに自分も感じたので…。あれを見ると本当に交通事故を受けるようなダメージっていうのもそう思いますし、やはり支えていくためにも男性育休を当たり前に取れる社会になっていくといいなと思いますよね。共立エンジニヤさんも、伊藤さんで終わるのではなく、どんどん続いてほしいですね。会社としても伊藤さんで男性育休のノウハウができたので、今後しっかり準備もできると思います。
育休で変わる仕事へのスタンス
- 岩本アナ
- 今はどういうことにやりがいを感じていますか?取る前と取る後では仕事と育児の両立への価値観というか、考え方が変わりましたか?
- 伊藤さん
- 育児・家事と、忙しさに追われてますが、我が子と一緒に成長できているのかなと感じられるところが、やりがいの1つかなと思います。1人目の時は、仕事ばかりしていて、仕事に集中できる環境を作ってもらっていたので、それはそれでまた人生の充実は感じていたんですけど。今はもう、まずは育児ですね。そして、復帰後はまた仕事にしっかり取り組んでいければいいというふうに考え方も価値観も間違いなく変わっていると思います。
- 岩本アナ
- 自分も復帰した時は、仕事しつつも、やっぱり家に帰った時には育児をしないとって思いました。仕事がすべてという考え方じゃなくなっているような気がしました。
- 伊藤さん
- 復帰後も、やはり育児が大変なので家に早く帰りたいという思いが強くなったので「いかに自分の業務を効率よくこなして残業を少なくして帰れるようにするかが大事だな」というふうに思うようになりました。
- 岩本アナ
- どんどん育休を取ってもらって、効率よく仕事してもらった方が職場的にもいいですよね。
スムーズな引き継ぎ&復帰への準備
- 岩本アナ
- 復職後もすごく大事な気がします。
伊藤さんが今回、2回に分けて合計3か月取られて、そのあとスムーズに仕事に入っていける姿を後輩たちに見せるのも大事になってくるのかなと。何か具体的にスムーズに復職するための対策みたいなのがありますか?
- 伊藤さん
- 社内の面談シートを使って業務の引継ぎ事項について、育休前にまず相談しました。育休後も同じように引き継ぎ事項について上司から確認して、スムーズに仕事に戻れると思います。
また、たまたま今回の取得時期は業務の切れ目といいますが、繁忙期である年度末は終わって、ある程度落ち着いた時期だったので、比較的業務に支障なく育休に入れたのかなと感じています。
- 岩本アナ
- それでもやっぱり復帰する時には少し不安を感じませんか?僕は育休2か月だったんですけど、仕事を今までどうやっていたかなとか少し思ったんですよね。職場のパソコンのパスワードを忘れて(笑)。総務の方に電話して教えてもらいました。
- 伊藤さん
- 確かに、不安な部分も少しはありますね。
- 岩本アナ
- そこをしっかり周りにサポートしていただけるとね。あとは日頃からコミュニケーションをしっかり取っていれば復帰後も安心してスタートダッシュを切れるかなと思いますよね。
- 伊藤さん
- そうですね。本当に、うちの職場は総務の方をはじめ、みなさんにフレンドリーにしていただけるので、忙しい中でも時間を割いてすぐ回答していただけます。非常に働きやすい環境なので。この環境がそのまま続いてくれればいいなと思ってます。
育休にも重要なのは「報・連・相」
- 岩本アナ
- 元から職場の雰囲気が良かったとは思うんですが、周りに仕事を任せてなにか言われたりしないかな?とか、段取りがうまくいくかな?とか、仕事の面で不安は特になかったですか?
- 伊藤さん
- その点については特にありませんでした。期間中に私が管理技術者として担当させていただいた業務が2件ぐらいあるんですけど、その中でも事前に発注者様と協議を行わせていただく中で「いつごろ育休を取りますので」とお伝えして了承いただきましたし、私が不在の間は技術者を代理で付けていただきました。そういった会社・部署ぐるみのサポートもありましたので、安心して仕事を任せられています。
- 岩本アナ
- 育休ってある意味「準備ができる休み」ですよね。出産の予定日も分かって、予め職場に伝えて、そこから「じゃあ業務の切れ目になるところから取ろう」など調整できますから。
でもあまり浸透していないということはまだ環境が整っていないということなんでしょうね。
- 伊藤さん
- 事前に取得の意向を伝える必要があったと思うんですけど、そこもコミュニケーションの1つなのかなと思ってます。報・連・相をしっかりやれば何の問題もないんじゃないかなと。
- 岩本アナ
- 取得する側としても、いつから育休に入るからそれまでにはこの仕事を終わらせないといけないとか、そういうのは責任もありますよね。育休に限らず、普段から休暇も取りやすいような環境なんですか?
- 伊藤さん
- そうですね。有休とかアニバーサリー休暇とか、事前に書類でこの日に取りたいですというのを年度末に伝える機会があって。1年に1回そこで希望を書いて。それを部署内で回すので、誰がどの時に休みを取りたいという意思表示はできていると思います。
- 岩本アナ
- 有給休暇を取りにくい環境で、育休が取れるわけがないですもんね。やっぱり共立エンジニヤさんには元からそういう土壌があったというか。アニバーサリー休暇とか何かちょっと面白そうですね!福利厚生記念日に休めるみたいな。
- 伊藤さん
- そうですね。例えば誕生日であったり、結婚記念日であったり。何でもいいと思います。
- 岩本アナ
- そういうのは社長のご意向が大きいんですか?
- 伊藤さん
- 前身の会社でもあったような気がするので、そこから休暇申請システムを持って来られたもかもしれないです。
- 岩本アナ
- アニバーサリー休暇いいですね、うちの職場にも欲しい(笑)。
「休んだら困る」から「休んでも大丈夫」へ
- 岩本アナ
- ご自身が14年目でいろいろな仕事を抱える中で育休を取ることに葛藤はなかったですか?
- 伊藤さん
- それなりに仕事を任せていただいている立場でもありますし、仕事・業務を回していく中で、ある程度重要なポジションに就いているという実感はあるんですけれども、やはり1人目が生まれた時に妻が精神面で大変だったっていうのがあったので、家族のことをもっと大事にしていきたいという気持ちをより強く感じました。
- 岩本アナ
- 育休を取ろうと踏み切られた時の、職場のサポートはどうでしたか?
- 伊藤さん
- 初めての男性の育児休業取得ということで、職場の方でも色々と書類の申請であったり、そういった面で総務の方にしっかりサポートしていただきましたし、業務の引き継ぎの部分は直属の上司と話し合って、面談シートを使って面談を行って、かなりスムーズに休業させていただいたというところで、職場には大変感謝しています。
- 岩本アナ
- やはり育休っていうのは職場もそうですし、自分の部署もサポートしてくれないとなかなか取りづらいですよね。私も職場で男性として初めて育休を取ったんですけど、やはり初めてだからこそ、総務の人もちょっとバタバタしてましたし、こういう書類が必要!みたいなところから始まるので、やはりそういうのを見ているとはじめの一歩を踏み出すのは大変だと感じますよね。これをきっかけに共立エンジニヤさんでも男性の育休が進んでいくといいですよね。
- 伊藤さん
- 男性だけでなく女性の場合も、人材が一時的に抜けることになるので、やはり誰が抜けても仕事をカバーできるような人材育成であったり、強化というものが非常に重要ではないかなと個人的には思っています。
- 岩本アナ
- 人が抜けて困るという職場の環境ではなかなか取りづらいですよね。そこを「抜けても大丈夫、みんなで何とかするから」と言ってもらえると男性も育休を取りやすいですよね。実際、その辺の送り出し方というのはどうでしたか?会社の中で。
- 伊藤さん
- 嫌な顔もせず「育休に入るの、もうすぐだよね」みたいにフランクに声かけていただいたり、育休中もたまにちょっとした用事で顔を出すことがあるんですけど、その時にも普通に「どんな感じ?」とか「育児はどんな調子?」というのを気さくに話しかけていただいたりするので、非常に私としては嬉しかったです。
- 岩本アナ
- 会社の中での一つのトレンドになっているんでしょうね。社会全体で男性の育休取得を増やすために必要なことって何だと思いますか?
- 伊藤さん
- そうですね。やはり上の世代の方との価値観の違いや、社会の考え方を変えていく必要があるんじゃないかなと思っています。「男性は仕事、女性は育児」という考え方は今後変えていく必要があるんじゃないかなと。昔は今ほど共働きが多くなかったと思いますし、時代の変化に追従した育児、子育てへとどんどん更新されるといいなと。
- 岩本アナ
- そうですね。昔ながらというか、そういう考えがあるとどうしても男性の育休の推進って難しいですよね。そんな中で伊藤さんは今回取られたので、今後管理職になる時に部下の育休を快く送り出せるいい循環になりますよね。
- 伊藤さん
- 私がいいきっかけになればいいなと思っています。その時は本当に気持ちよく送り出してあげたいなと思います。
松本 美佳さん
営業管理部 課長補佐
目次
- 子育てに奮闘する姿が微笑ましい
- 男性育休をどんどん発信
- 経験したからこそ「がんばれ」と言える
子育てに奮闘する姿が微笑ましい
- 岩本アナ
- 今回伊藤さんが育休を取るにあたって、松本さんはどのような役割を担っておられたのですか?
- 松本さん
- 私は総務なので各種手続きや、伊藤さんのお休み中の流れを、こちらも勉強しながら進めさせていただきました。
- 岩本アナ
- 伊藤さんから「育休を取りたいんですけど」と初めて言われた時、松本さんはどう思われましたか?
- 松本さん
- まず「奥様が羨ましいな」って思いました。私も2人娘がいるんですけど、自分の時の大変さをやっぱり自分が身に染みて分かっているので、そんな時に男性が育休を取得してくれて羨ましいなと。それが率直な思いです。
- 岩本アナ
- あっなるほど!やっぱりお母さんならではの気持ちですね。伊藤さんは、話を聞いている感じだと、もともと子育てに対しては積極的な感じがしました。
- 松本さん
- そうですね。色々とお休み中の話を聞いていてもそう感じます。「休みは取ったけど何をしていいかわからない」という答えが返ってくるかなと思ったんですけど、一番最初に産後パパ育休を取られた時に「どう?」って聞いたら、「もう大変です…眠れないです」って答えられて、ああ本当に育児をしてるんだなと。素晴らしいなと思いました。
- 伊藤さん
- (照笑)
男性育休をどんどん発信
- 岩本アナ
- 会社としては、男性育休を受け入れるような土壌や環境みたいなものがあったんですか?
- 松本さん
- ちょうど法改正があって、社内規定なども変更していた時期だったので、その流れでいよいよ取る方がいらっしゃるんだなと、こちらも準備は進めてはおりました。
- 岩本アナ
- やっぱり男性が初めて取る時のご苦労ってありましたか?手続上面倒なこととか。
- 松本さん
- 面倒とは思わなかったですが、なにぶん初めてだったので、色々調べるところからでした。
大変だったこともありますが、今後続くことでもあるのでこちらも勉強になってありがたいなと思いました。
- 岩本アナ
- 伊藤さんみたいに1人取ってくれれば、次はそのノウハウで続いていけますもんね。今社内にはそういう「育休を取ってみようかな」みたいな雰囲気などは変わった事はあるんですか?
- 松本さん
- なかなかやっぱり、育休はハードルが高かったんですけど、こうして伊藤さんが取得してくれたおかげで、看護休暇とか、出産時のお休みとか、そういった育児の関係のお休みを使って休まれる男性が少しづつ増えているような気がします。
- 岩本アナ
- やっぱり、仕事仕事!というふうになるのではなく、家庭も大事にしていく良いモデルになってるんですね。こうやって、育休から復帰すると伊藤さんも新たな視点が増えると思うので、会社の強みにもなっていきますしね。
- 松本さん
- そうですね、社内でも育児の体験談のお話をしていただきたいですし。まだまだ若い男性社員がいるので、どんどん取ってくれるように発信していただけたらと思います。
経験したからこそ「がんばれ」が言える
- 岩本アナ
- 育休って男女で壁なく話すきっかけにもなると思うんです。僕は子育てに関するブログを書いていたんですけど、それを社内のママさん社員が読んでくれていて。男性は反応が薄いんですけど(笑)女性社員は「あの記事良かったねー」と言ってくれるので、やっぱり男女の子育ての意識の違いがそこにもあるのなと思うんです。だから復帰後は社内で女性の味方が増えました。ママさん社員がもう、全員優しくしてくれます(笑)。
- 伊藤さん
- 楽しみですね(笑)。
- 岩本アナ
- 松本さんは2人の娘さんがいらっしゃるということで、育児の体験談とか経験を、男女で社内で共有することによって、ちょっと新たな絆というか。この人はちょっと分かってくれているとか、社内での見る目もちょっと変わってきますよね。
- 松本さん
- 今まで女性同士でしか話せなかったことってありますよね。男性も大変だと思ってくれているとは思うのですが、体験してみないと分からないことってたくさんあると思うので、理解してくれる男性がいると全然違うと思います。
- 岩本アナ
- 男性はなにより環境を整えるのが大変だなと。本当にこうやって松本さんみたいな理解者というか協力者がいると育休を取りやすくなりますね。実際に子育て経験をされているので、相談もできますしね。
- 伊藤さん
- 本当にそうですね、強く思います。松本さん、お子さん高校生ぐらいですよね?思春期の子育てを経験されているので。
- 松本さん
- そう、高校生と中学生。
- 岩本アナ
- 松本さんも出産当時はやはり大変でしたか?
- 松本さん
- そうですね、15年違うだけでこうも違うのかと思うんですけど、やはりその当時って男性の中でも社会でも昔の考えが残っているので、飲み会があると断れない。育児のために早く帰れるわけではない。となると、やっぱりお風呂が一番大変でした。1人でバタバタするんです。自分がお風呂に入ったかどうかさえわからないような感じでした。
そこを今はきっとお父さんが協力して、一緒にされてるんですよね。それだけでも全然違うと思います。
- 岩本アナ
- そうですね。お風呂入れる係とね、引き上げて着替えさせる係で分担するだけで全然違いますよね。
- 松本さん
- 伊藤さんも奥様の精神面での話をされてましたが、私も上の子の時は10か月休みをいただいたんですけど、もう早く仕事に出たくて。子どもは大好きなんですけど、仕事もしたくて。その辺の大変さがあったので、伊藤さんの奥様の話、すごくよく分かるなと思いました。
- 岩本アナ
- やはり仕事は自分のペースで進められるけど、育児は自分のペースで進まないじゃないですか。そういう意味では本当に女性の方に話を聞くと「早く仕事復帰したかった」と多くの方がおっしゃるんですよ。子どもは好きだけど、ずっと一緒だとちょっとつらくなってしまう時期がどうしてもあるので、サポートして分担してくれるだけでだいぶ違いますよね。
- 松本さん
- 全然違いますね。
- 岩本アナ
- やっぱり子育てというのは協力してやっていくのがいいですよね。
そういう松本さんご自身のバックグラウンドもあって、頑張ってねって送り出せるんですね。
奥田 真二さん
代表取締役社長
目次
- 育休を取ってくれてありがとう
- 「多忙な社員でも取れる」というお手本に
- 1〜2人抜けて傾く会社じゃダメでしょう?
- 社長のポリシー
- 育休前も後も、大切なのはコミュニケーション
- 育休取得と人材の定着の好循環を
- 土地柄と県民性と職場環境
- 離職率0%の職場に
- ライフのためのワークです
育休を取ってくれてありがとう
- 岩本アナ
- 奥田さんはお子さんはいらっしゃいますか?
- 奥田社長
- お子さんというか、もうおじさんとおばさんですよ。
- 岩本アナ
- じゃあもう何十年も前の話ですかね?赤ちゃんを育てたというのは、
- 奥田社長
- ただね、うちの孫が明日1歳の誕生日なんです。だから早く帰らなきゃいけない。僕は鳥取から単身赴任中なんです。
- 岩本アナ
- お孫さんは鳥取市にいるんですね。かわいいですか?
- 奥田社長
- かわいいなんてもんじゃないですよ、写真見ますか?女の子なんですけど、かわいいです。
- 岩本アナ
- 僕の父親もそんな感じで孫娘にメロメロです(笑)。僕には一切買ってくれなかった人形とかも買ってくれて(笑)。
- 奥田社長
- 人形買いました。
- 岩本アナ
- 買われましたか(笑)。うちの父は息子が欲しいと言ってた時は「そんなのいらんだろ」とか言ってたんですが…。
さてさて、では本題に入りますね(笑)。
共立エンジニヤさんで、今回伊藤さんが初めて男性育休を取られたということですが、奥田社長としてはそれに関してどうですか?
- 奥田社長
- 育休の候補者は何人かいたんですが、進んで取ると言ってくれたのは、伊藤さんが初めてで。こうやってPRできるというのはありがたかったですね、手を挙げてくれて。取っていただくと会社としてはアピールできるポイントが増えますから。ありがたかったですね。
- 岩本アナ
- 会社としても、どうぞ取ってくださいという感じで?
- 奥田社長
- もちろんです。ちょうど同時期に赤ちゃんが生まれるという候補の人が3人いたのかな?他の2人はご両親と同居だったりで、父親が育休を取らなくても周りがサポートする体制があったのだと思います。伊藤さんは核家族だから、奥様に対してサポートが必要でしょうし、ということで。
僕も子育ては一応数十年前にしてはきましたけど、うちの妻も大変だったと思います。取れるものは取れればよかったなと、思っていました。
育休の社会的な流れの変化を一番最初に感じたのは、仕事で行った国土交通省の事務所でね。所長さんが育休で不在だったんです。一昨年の話ですよ。
国が施策として育休を進めて、それを国家公務員が、しかもトップの所長さんが取っているという。これはすごいなと!国も世間もやる気だなというのを感じました。
それから色々と法の改正があって、我々も社内の規定を変えていくことになって。それでタイミングとして今年何人か候補者がいて、伊藤さんに声を掛けたらすぐ返事してくれました。でも、伊藤さんは業務が忙しいんですよ。
- 岩本アナ
- 14年目ですもんね。
- 奥田社長
- そう。いわゆる技術一部という、うちの大事な部署で、会社にいなきゃいけない人材なので。だからそこから1人抜けるというのは、非常に仕事としてもロスではあるんですけど、周りに同僚や上司の人数が多い部署だったので、伊藤さんが抜けたからといってガタガタと崩れることはないだろうなと思いました。周りの反応も好意的だよね?石を投げられたりしてないよね(笑)?
- 伊藤さん
- (笑)
- 岩本アナ
- ほんとに投げられていたら言いづらいかもしれないですけど(笑)。
- 奥田社長
- ただ、伊藤さんと同じ部署の人にとっては、自分の仕事があって、なおかつ伊藤さんの仕事もサポートするのだから、その分の手当が欲しいという話はすぐ出ました。
他の職場でも育休を取られた社員さんのサポート手当を出しているのも見まして。もちろん会社として出せるものは出してあげたいけど、その前に国の支援を活用し、部署で配分してもらうという話をして、納得していただいています。おそらく無償でもやってくれたと思いますが。
- 岩本アナ
- ということは今、共立エンジニヤさんでは、伊藤さんがおられた部署の人はサポート手当が出ているんですか?
- 奥田社長
- 今はまだ出ていないです。国からの支援がいただけたら出します。うちの会社で一番進めているのは仕事と家庭のワーク・ライフ・バランスです。今までは我々の世代も含めて、家庭を顧みない仕事人間が圧倒的に多かったですから。今はそういう時代でもないし、そういうことを望んで皆さん会社に入っていないので。今はそれを推しています。
「多忙な社員でも取れる」というお手本に
- 岩本アナ
- 求人においてもアピールしておられますか?
- 奥田社長
- もちろん。ワーク・ライフ・バランスを売りにして求人活動もしてます。実際会社に入ったあとも、仕事ばっかりしてるとつまらないですよ。私もあんまり仕事したくない、休みたい(笑)。なので、社員もどんどん休みを取ってくださいと。
とはいえ、やたらめったら休んでは会社の儲けが出ませんのでね。もちろん生産性は落ちるんですよ、人がいなくなると。だからそうならないように「新しい技術を取り入れましょう」とか、「機械にできることは機械にやってもらいましょう」とか。効率が下がらない工夫はもちろんしていかないといけない。
- 岩本アナ
- 単に休むだけじゃなくて、メリハリと工夫が大事ですよね。
- 奥田社長
- そのために社員の皆さんにたくさん勉強もしてもらっているし、そういうのに励んでいただきながら「余った時間は休みましょう」「長期の休暇も取れるようにしましょう」としたいと思って、ここ数年やってきました。
- 岩本アナ
- そしてこの度、育休取得男性第1号が出てこられて。会社としてもいい流れになっているということですかね?
- 奥田社長
- はい、そう思います。男女とも育児が落ち着いたらもちろん復職できますし、育休を取得することで不利になることも一切ないと思います。
- 岩本アナ
- 子どもに対しても、親からの愛情というのは、男女ともイコールであるべきですもんね。また、育休を経験して会社に復帰したら、父親としての目線を仕事に活かすところもありますよね。
- 奥田社長
- それもそうだし、14年目の中堅社員で、会社にとって非常に重要な人材である伊藤さんが数か月休んでも会社としてロスがなかったとなれば、若い社員にとって休んでいいんだという見本にもなると思うので、これからどんどん出てくるであろう育休取得者最初のモデルとしては理想的かなと思います。
- 岩本アナ
- たくさんの仕事を抱えている伊藤さんが抜けても、他の人で支え合っていければ会社は回るというモデルケースというか。みんなの認識が広がれば、育休を取りたいという人も増えていきますよね。
- 奥田社長
- 伊藤さんはいなくてはいけない人材だから、その点では非常に有意義な体験を提供してくれていると思います。ありがたいです。
- 岩本アナ
- やっぱり会社の中で、どうしても男性はちょっと取りづらいというか。実際、社長の世代だと育休とかあまりなかったですよね?
- 奥田社長
- もちろんありませんでした。生まれた日に病院に行くぐらいかな。
- 岩本アナ
- 立ち会いとかではなく、生まれた日に。
- 奥田社長
- 仕事から帰って、一緒にお風呂入れたりとかおむつ替えたりとかはありましたけど、仕事の時間を削って育児をしたりはなかったですね。
1〜2人抜けて傾く会社じゃダメでしょう?
- 岩本アナ
- 時代が変わっている中で、上の世代の社員さんの育休に対しての考えというのは、好意的なんですか?
- 奥田社長
- 一人ひとりに聞いて回ったことではないですが、会社としてワーク・ライフ・バランスを推進していきますよということは皆さん分かっていただいていると思います。その中の一環で、育児休業だとか有休取得を推進しようとか、ノー残業デーをしっかりやろう、みたいなことは理解していただいているので。伊藤さんが取る育休というのはその中の一つで、特別なことじゃないと僕は思ってます。
- 岩本アナ
- そうですね。「特別なことじゃない」というのが社長の考え方としてあるのは、社員にとってもすごく大きいのかなと思います。
- 奥田社長
- だからみなさん、取りたい人が取れるようにしたい。家庭の事情などにもよるので、それは個々の意思で決めていただければいいわけです。会社は全面的にバックアップするという考えです。そもそも、1人2人抜けたからって傾くような会社ではダメでしょう。
- 岩本アナ
- そうですね。
- 奥田社長
- 私がいなくても、成り立ってますよ(笑)。
社長のポリシー
- 岩本アナ
- 今後、伊藤さんも管理職など立場が上がっていくときに、育休という経験があるというのは会社の強みにもなっていきますよね。
- 奥田社長
- そうですね。課長になった時、部下が取りたいって言っても「ダメ」って言えないもんな(笑)。「課長も昔取ってるでしょ」って。
- 岩本アナ
- そうですよね。むしろ「俺が支えてやるから安心して行ってこい」と送り出していけるようなね。
- 奥田社長
- そうそう、絶対そうなってくれると思いますよ。
- 岩本アナ
- 伊藤さんも復帰した時は、残業をせずにいかに効率よくやって早く家庭に帰るかというのを大事にしたいとおっしゃっていたので、会社としても効率よく仕事が回っていくというのはいいことですよね。
- 奥田社長
- いいことですね。うちは就業時間7.5時間なんですけど、じゃあ7.5時間ずっと集中してやっていますか?っていうと絶対やってないんですよ。無駄な時間とか、集中していない時間がある。それを考えたら改善すべき点はいくらでもあって。人間集中できる時間は2時間ぐらいって言うじゃないですか?その間に集中して仕事ができれば、あとは休んでいいのよ。そういう考えなので。みんなゆっくり休みましょう。
- 岩本アナ
- こうした社長の考えがあると会社としても取りやすくなりますよね。
育休取得と人材の定着の好循環を
- 岩本アナ
- 伊藤さんの話で、育休について、取得前からのコミュニケーションが大事だということもあったんですけど、会社の中でもコミュニケーションというのは大事にされている?
- 奥田社長
- 例えば伊藤さんにお子さんができるという話を事前に知らなくて、唐突に明日から育休取らせてくださいと言われたら、ちょっと待てよとなるじゃないですか。仕事のことや人員のこともあるし。でも、ある程度事前にこの時期に休むというのが皆さん分かっていたので、意思の疎通はできていたと思います。
- 岩本アナ
- ですよね。伊藤さんも休む時期に合わせてその準備ができるから、ちゃんと自分が関わった仕事は引き継がないといけないし、部署としても伊藤さんの穴はみんなで埋めていこうぜとなりますしね。今後、会社としても増えていくといいですね。
- 奥田社長
- ここ5〜6年ずっと若い社員さんを入れているので、20代がたくさんいます。
男性育休を含めて、若い社員の方が安心して働けるよう応援しています。
- 岩本アナ
- 取得するときもなんですけど、復帰後もやっぱりちょっと不安があるという声も聞きますが。
- 奥田社長
- たぶん伊藤さんの場合はトータル3か月だから、そこまで大変ではないと思うんだけど、女性の場合は1年とか1年半ぐらいだと、簡単ではないかもしれませんね。
- 岩本アナ
- 会社としても復帰後の支援もしていくと、より育休を取りやすいですよね女性も男性も。
- 奥田社長
- 最低限、復帰前と復帰後の仕事上の立場・レベルが下がることはないので、そこはまったく心配していただかなくて大丈夫です。基本的に現状維持で戻っていただいてます。
だから、ある程度人員を確保しないといけない。そのために産後パパ育休やワーク・ライフ・バランスを推進し、会社のイメージアップができれば社員も増え、増えたらそれだけ育休も取りやすくなる、という好循環が生まれればいいなと思ってます。伊藤さんという第一号が出ましたので、どんどんPRしていきたいです。
土地柄と県民性と職場環境
- 岩本アナ
- 島根県の男性育休について、社長としてどうすれば変わっていくと思いますか?
- 奥田社長
- これは、さっき言った環境の話、両親と同居しているとか、親の家の近くに家を建てている方とかもけっこういらっしゃるので、身近に両親がサポートしてくれる体制があるから、育休取らなくてもいいと思っている人も多いのかもしれませんね。
あと島根県民はわりと奥手というか、積極的に自分の意見を述べられる人が少ないのかな?育休を取りたいって言いたいけど言えないとか。
- 岩本アナ
- 取りたいけど言えないという雰囲気も会社によってはあるのかもしれませんね。
共立エンジニヤさんは取りやすい雰囲気の醸成がうまくできていると思うんです。実際取りたいけど会社の雰囲気を理由に言い出せない方が多いという調査もあって。
- 奥田社長
- そうみたいですね。うちに関してはどんどん言い出して、取っていただければと。
島根県は190年後には県民が0になる、と聞いたことがあって。出生数も低いし、高齢の方が多いから。だからどんどん産休育休取って人口上向きにね。これは県としても工夫がいることだと思います。
- 岩本アナ
- そうですね。しっかり今回も情報を発信して、少しでも貢献したいと思います。
男性も当たり前に育休取得できる世の中になっていけばいいですよね。
離職率0%の職場に
- 岩本アナ
- ワーク・ライフ・バランスを重視した職場づくりとのことですが、その結果社員さんの採用や定着に変化などは感じておられますか?
- 奥田社長
- はい。この会社に来て8年目、社長就任7年目なんですけど、それ以降に来てもらった新卒の社員さんの離職率が0なんです。これは私がどうこうということだけじゃなく、会社の雰囲気とか同僚・先輩・上司の方々、みんなよくやってくれている証拠ですよね。
- 岩本アナ
- すごいですね。離職率ゼロというのは。
- 奥田社長
- 新卒で採用した方に限ってですけどね。そんなにたくさん給料を払えているわけではないんですけど。
- 岩本アナ
- でもそれ以上の魅力や働きやすさがあるんでしょうね。社長自身は、なぜだと思われます?
- 奥田社長
- やっぱり会社の皆さんの雰囲気作りというか、周りの社員を思う気持ちじゃないですかね。
基本的にみんな優しいし、優しさの中に厳しさもあってね。私たちは技術力を売りに仕事をしていますから、そういったプライドを持っている方がたくさんいますし、そういう姿を見てついていきたいと、思ってくれているのではないでしょうか。
決して私の人格のおかげではありません(笑)。
- 岩本アナ
- ちなみに社長の就任前というのは…??
- 奥田社長
- 正直に言いまして、ボロボロでした(笑)。
- 岩本アナ
- では社長就任の時に「ここを変えないといけない」と意識した点があったんですか?
- 奥田社長
- それはもう「コミュニケーション」ですね。明るく楽しくというモットーで、とにかく風通しの良い会社にしなければと思いました。皆さんが、上下関係なしに色んな意見を言ったり提案できたりする、そういう会社にしたいという話をしました。今でもそう思っています。
- 岩本アナ
- なるほど。松本さん、やはり社長が就任されてから、社内の雰囲気は変わったんですか?
- 松本さん
- 変わりました。休暇もより取りやすくなりましたし。
- 奥田社長
- 基本的に仕事したくないんですよ(笑)。
- 岩本アナ
- (笑)
社長のそういった思いは、社員さんにも伝えていらっしゃるんですか?
- 奥田社長
- 社員に「仕事したくない」とは言わないですよ。
社員には、仕事に対して一徹な人間だと思ってほしいですから笑
ライフのためのワークです
- 岩本アナ
- 社長はワーク・ライフ・バランスを大切にしようと思ったきっかけみたいなのはあるんですか?
- 奥田社長
- ワークとライフは、どっちを重要視するかと言ったら、そりゃ「ライフ」のために働くでしょ?仕事のために家庭を持つ人はいませんよね?家庭を持った以上は仕事で頑張って、家族を幸せにするために我々は働くじゃないですか。
- 岩本アナ
- そうですね。人生を生きていくために。
- 奥田社長
- 家庭を幸せにするのが目的で、仕事は手段ですよ。それが本末転倒してる人がいたらおかしいですよ。それはずっと前から思っていましたね。
- 岩本アナ
- そういった社長の考えに、伊藤さんも何かしらの形で触れて育休を取ってみようというふうに考えたのかも。
実際、育休を取得しづらい雰囲気を男性が育休を取得できない主な理由としてあげている調査結果もありますし、上司からの声かけや社内の風土は重要だと思います。
そういった意味では伊藤さんも、社内の雰囲気に対してネガティブな印象がなかったということですよね?
- 伊藤さん
- なかったですね。
- 岩本アナ
- この会社なら取れるだろうと思ったから取得に踏み切れたということですもんね。本当に経営者の方の考え方って社員に与える影響が大きいと思いますし、会社の雰囲気も変わりますからね。だから引き続き社長には、そういうワーク・ライフ・バランス大切にしようという発信を続けてもらいたいですし、男性でも当たり前に育休を取れるような会社を目指していっていただきたいですね。
- 奥田社長
- もちろんです。みなさんにお約束します。
取材日:2023年9月28日
岩本アナウンサーの取材後記
共立エンジニヤさんの取材を通して感じたのはなんと言っても社員同士の仲の良さ!
取材中も奥田社長を中心に笑いが絶えず、この雰囲気こそが社内の風通しの良さに繋がり、今回、男性育休の第一号誕生に至ったのだと感じました。
また、育休を取得した伊藤さんがインタビュー中に繰り返し「周りの社員の方への感謝」を口にしていたのも印象的でした。
今後、育休を終えた伊藤さんから、ますます良い流れができていくのだと思います。
とはいえ社長からも「技術力が売り」という言葉があったように、簡単に代わりがきくような仕事ではないはず。今回も、たくさんの業務を抱える中堅社員である伊藤さんの抜ける穴は大きかったと思います。しかし、こうして育休をはじめとする社内環境を改善することで、より優秀な人材を確保できるように好循環を生み出していこうという会社の強い意志もありました。
男性育休が広がりを見せるためには「経営者と社員の風通しの良さ」が大切なことなんだとインタビューを通して感じました!